
「都内は土地価格が高い!」
「建築条件が厳しくて、希望の間取りにできないといわれた」
「そもそも都内で、戸建て住宅を建てられるような広い土地が売りに出されることはないのでは?」
など、東京都内で注文住宅を建てることのハードルの高さは多くの人が感じているのではないでしょうか。
たしかに、東京都内の地価は上昇傾向にあり、とくに都心部の土地を購入するとなると多額の費用が必要になるのは事実です。
とはいえ、東京都内のすべてのエリアが同じ状況というわけではありません。
実は、23区内にも比較的安く土地を購入できるいわば狙い目のエリアが存在しています。
本記事では、東京都における平均敷地面積やその価格のデータとともに、東京都内における狙い目エリアを紹介します。
記事後半では、都内で家づくりをするのであれば、ぜひおすすめしたい工務店とその理由についても詳しく解説。ぜひ最後までご覧ください。
「都内の家づくり」と「地方の家づくり」の差
東京都内で注文住宅を建てる場合とそれ以外のエリアで注文住宅を建てる場合とでは、一体何が違うのでしょうか。
両者における大きな差を、具体的な数値データとともに解説します。
土地の面積と価格に大きな差アリ!2022年フラット35利用者調査によると、エリアごとの住宅面積と敷地面積の平均は次の通りです。
出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」
住宅面積(建物面積)にそれほど差はないことがわかります。一方、敷地面積には大きな差が存在します。
東京都はダントツで平均敷地面積が小さく、全国平均の半分以下という結果です。
この結果から、東京都で家を建てるのであれば、狭小地になる可能性が高いことは覚悟しておかなければなりません。
それでは、平均価格についてはどのようになっているのでしょうか。主要都市における令和5年の地価公示価格を見てみましょう。
※地価公示価格は、実際に取引された価格とは異なります。あくまで地価の指標の一つです。
東京23区の住宅地平均価格は1㎡あたり665,300円と、ほかの主要都市と比べて2倍から3倍ほど高い水準となっています。
東京都全域で見ても、1㎡あたり452,100円と他エリアよりも高い数字ですが、多摩地域の平均価格が220,000円であることを考慮すると、やはり23区内の土地価格が群を抜いて高いことがわかります。
なお、地価公示価格とは、国土交通省が毎年1月1日時点における全国約26,000地点の標準地の価格を調査し、3月下旬に公示するものです。
土地の適正な価格形成に寄与することを目的としています。
地価公示価格は、あくまで標準地の価格であり、実際の取引価格は、個々の土地の条件によって異なります。
地価公示価格は、土地の価格を知るための参考指標の一つにすぎない点は留意しましょう。
このほかにも、東京都内の土地は密集地に位置することが多く、建築条件が厳しく設定されているなどというケースも多々あります。
敷地面積や平均価格の差ですべてを語れるわけではありませんが、これらの結果から東京都内で注文住宅を建てる際には、まず土地探しの部分に高いハードルが待ち構えていることがわかります。
【マップ】都内で土地を比較的安く購入できるエリア
統計データで見るとどうしても東京23区の土地は高いという印象になります。
しかし、細かく見ていくと実は23区内でも比較的安く土地を購入できるエリアが存在するのです。
出典:東京都財務局「令和5年地価公示価格(東京都分)」
上図は令和5年の東京都内の地価公示価格(住宅地)を地図に落とし込んだ「住宅地平均価格マップ」です。
実際の土地価格と完全にリンクするものではありませんが、東京都内において土地価格が高いエリアと低いエリアを一目で確認できます。
23区内であれば足立区・葛飾区・江戸川区がおすすめ
令和5年の地価公示価格は、足立区が332,400円/㎡、葛飾区が333,800円/㎡、江戸川区が377,300円/㎡と、この3区においては1㎡あたりの土地価格の平均が40万円以下と比較的低いといえます。
高級住宅街があることで知られる港区の地価公示価格2,149,700円/㎡と比較すると、その価格はおよそ6分の1だとわかります。
23区内であれば都心部へのアクセスも良いため、コストを抑えながらできるだけ都心部に近い場所で注文住宅を建てたいという方は、上記3区の中で土地探しをしてみるのがおすすめです。
多摩エリアで都心部へのアクセスが良い土地を探すのもおすすめ
多摩エリアについては、西へいくほど土地の価格は低くなる傾向にあります。
西東京市や小金井市、小平市など東京都の中央に位置する地域であれば、地価公示価格が1㎡あたり30万円前後かつ都心部までのアクセスも良いため、利便性と価格のバランスが良いといえるでしょう。
さらに西の青梅市やあきる野市あたりまでいけば土地価格もグッと低くなりますが、都心部までのアクセスが悪くなるというデメリットを受け入れる必要があります。
出典:東京都財務局「令和5年地価公示価格(東京都分)」
※地価公示価格は、実際に取引された価格とは異なります。あくまで地価の指標の一つです。
なお、都心部へのアクセスの良さとコストの低さを両立させたいのであれば、東京都外のベッドタウンもおすすめです。
とくに、さいたま市は東京駅から電車で約30分というアクセスの良さが魅力的で、全国的にも有名な進学校が多く存在するなど教育環境も充実しています。
次の記事では、さいたま市で注文住宅を建てる場合のメリットを詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:さいたま市で建てる新築一戸建ての4つの魅力|都心へのアクセスや教育環境は?
都内で注文住宅を建てるなら工務店がおすすめの理由
都内で注文住宅を建てる場合、大手ハウスメーカーと工務店のどちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。
本章では、都内で注文住宅を建てるなら工務店がおすすめである理由を、具体的なメリットとともに詳しく解説します。
建築費用を抑えられる
都内は地価が高く、注文住宅を建てるにはどうしても高額な費用がかかります。
しかし、工務店であれば、大手ハウスメーカーに比べて建築費用を抑えられる可能性があります。
その理由は、主に次の3つです。
1. 中間マージンがない
大手ハウスメーカーは、全国展開しているため、広告宣伝費や人件費などの間接コストがかかります。
一方、工務店は地域密着型の企業が多く、中間マージンなどが発生しないため、同じ品質の住宅でも比較的低価格で提供できます。
2. 地域に適した材料を使用する
工務店は、地域の気候や風土に適した材料を直接仕入れて使用することで、コストを抑えながら高品質な住宅を建設することが可能です。
3. 施主と直接やり取りする
工務店によっては、施主と設計者、現場担当者が直接やり取りしながら設計・施工を進めていくため、無駄な時間やコストを削減できます。
たとえ狭い土地だとしても自由度高い設計を行ってくれる
都内は土地が狭く、建築条件が厳しい場合も少なくありません。
しかし、工務店であれば、豊富な経験とノウハウを活かして、狭い土地でも希望に沿った自由度の高い設計を行えるでしょう。
具体的には、次の3点が挙げられます。
1. 敷地形状に合わせた設計
工務店は、敷地形状に合わせた柔軟な設計プランを提案できます。
大手ハウスメーカーの場合、設計プランはある程度パッケージ化されていることも多く、建築が難しい土地では希望通りの住宅を建てられないかもしれません。
一方、工務店であれば、施主の希望を聞きながら、難しい土地であっても実現可能な設計プランをともに考えてくれます。
2. 採光や通風に配慮した設計
狭い土地でも、採光や通風に配慮した設計をすることで、快適な住空間を実現できます。
地元工務店であれば、地域の気候にも詳しく、その土地に合わせた間取りを提案してくれる可能性も高いでしょう。
3. 収納スペースを工夫した設計
限られたスペースを有効活用するために、収納スペースを工夫した設計も可能です。
施主からの細かな希望も叶えてもらえることが多いため、使い勝手の良いオリジナルな住宅を実現できます。
このように、工務店は建築費用を抑えながら、自由度の高い設計を実現できるというメリットがあります。
都内で注文住宅の建築を検討している方は、工務店を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
関連記事:ハウスメーカーと工務店の違いとは
東京都内でおすすめの工務店3選
東京近郊には多くの住宅会社が存在します。
その中で、建築費用を抑えながら、自由度の高い設計を行えるのが工務店の強みです。
本章では、東京都内の中でも比較的土地価格が低く購入しやすい東京西部を施工エリアに含む工務店を3社紹介します。
さいが設計工務
出典:https://saigasekkei.com/(公式)
さいが設計工務は、気密性や断熱性、耐震性など住宅性能を重視した家づくりを得意としている工務店です。
本社は埼玉県日高市にありますが、東京都内の一部地域も施工エリアとしています。
出典:さいが設計工務「施工エリア」
快適な暮らしを実現する超高性能住宅
木にこだわったデザイン性の高い注文住宅を設計するさいが設計工務。
実は、住宅性能にもかなりのこだわりがあります。
とくに気密性と断熱性の向上には日々力を入れており、断熱性能については一般的な省エネ基準の約3倍にあたるUA値0.30W/㎡K以下を実現。
また、気密性については、さいが設計工務の建てる注文住宅は、C値0.3c㎡/㎡以下と一般的な住宅と比べて隙間面積を約30分の1に抑えています。
出典:さいが設計工務「気密性能」
さらに気密測定については、全棟で2回(中間時&完成時)行うという徹底ぶり。
換気システムにはドイツ製の「ヴェントサン」というダクトレスタイプの第一種熱交換換気を採用しており、高気密高断熱住宅実現への並々ならぬこだわりが感じられます。
もちろんそのほかの住宅性能についても高い水準を誇っており、耐震性については耐震等級3が標準仕様。
住宅の構造部分には「くさらない木」を使った家づくりが特徴のハウスガードシステムを採用しています。
孫の代まで見越した寿命の長い注文住宅を希望する方にもおすすめです。
自然素材にこだわった家づくり
自然素材へのこだわりもさいが設計工務の特徴の一つです。
たとえば、床には無垢材を使用し、ぬくもりと調湿性を兼ね備えた無垢フローリングを実現。
子どもやペットが安心して床に寝転がれます。
また、内壁と天井には、自然素材である漆喰が原料の壁材を採用。
吸湿性と消臭効果が高い漆喰は、シックハウス症候群の予防にも効果を発揮します。
モデルハウスの宿泊体験やVR体験が可能
さいが設計工務では、地元工務店としては珍しく自社モデルハウスを構え、さらに見学だけでなく宿泊体験も行っています。
宿泊体験は、短時間の見学だけではわからない住宅性能や夜間・早朝の様子も確認可能です。
また、遠方にお住まいの方や忙しくて見学に行けないという方のために、自宅から気軽に行えるモデルハウスのVR体験システムを公式サイトで公開しています。
会員登録など不要でモデルハウスが見学できるため、工務店選びをはじめたばかりという方にもおすすめのサービスです。
>> モデルハウス見学・宿泊体験(さいが設計工務公式サイト)
>> VRモデルハウス体験(さいが設計工務公式サイト)
さいが設計工務の施工事例

さいが設計工務の基本情報
マイホームパートナー
出典:https://www.myhomep.co.jp/(公式)
マイホームパートナーは、東京の気候風土に合った地元多摩の木材を使用した家づくりやリフォームを行う住宅会社です。
会社は東京日野市にあり、車移動で約1時間の地域を施工エリアとしています。
多摩産材(東京十二木)でつくる健康住宅
東京の気候風土に合った地元多摩の木材は、カビの発生を防ぎ、さらにシロアリを遠ざける性質を持っています。
そのため、腐れやシロアリ被害を防ぐための防蟻防腐剤の塗布が必要なく、身体に優しい住宅を建てることが可能です。
輸入材に比べ国産材は価格の高さがデメリットですが、直接仕入れによって中間マージンをカットし、コストを抑えながら価値の高い住宅を実現できる体制を整えています。
シラス壁の採用(施工実績東京No.1)
接着剤などが一切入っていない100%天然素材のシラス壁を採用しています。
珪藻土や漆喰と比べ空気浄化作用が高く、さらに優れた防水性能や調湿効果により、室内をいつまでも快適に保ちます。
また、火砕流(マグマ成分)が固化した素材のため頑丈で圧倒的な耐候性が備わっていることもその特徴。
室内壁だけではなく、外壁にも採用しています。
マイホームパートナーの施工事例

マイホームパートナーの基本情報
黒澤工務店
出典:https://www.kurosawakoumuten.co.jp/(公式)
黒澤工務店は、さいたま市を中心に地元に根ざした家づくりを行う昭和21年創業の歴史ある地元工務店。
施工エリアは埼玉県・東京都・千葉県(一部地域)です。
最先端の住宅性能
気密性・断熱性・耐震性、そして耐久性にも優れた「高性能住宅」を提供しているのも黒澤工務店の特徴です。
断熱・気密・耐久・耐震性能のすべてにおいて、世界水準の品質を保証。気密性の指標C値については0.5㎠/㎡以下を実現しており、断熱性の指標UA値については公開されていませんが、断熱性能を示すもう一つの指標であるQ値(熱損失係数)は0.5以下となっています。
なお耐震性については、独自のスーパーウォール工法により、耐震等級は最高ランクの3相当を実現しています。
和モダン×空間設計
伝統的な和風建築に現代的な和風デザインを加えた「和モダン」をテーマにした家づくりが黒澤工務店の特徴です。
また、高級リゾートホテルの空間デザインを基準にし、さらに健康医学にも基づいた空間設計を得意としています。
空間設計においては、木・石・水・造・明という5つのポイントを大切にし、住む人の心に癒しと豊かさを提供しています。
黒澤工務店の施工事例

黒澤工務店の基本情報
都内で注文住宅を建てる際にチェックすべきポイント
都内で注文住宅を建てる際には、通常の住宅建築に加えて、都内特有の環境を考慮する必要があります。
本章では、都内で注文住宅を建てる際にチェックすべきポイントを3つ紹介します。
都心部へのアクセス
都心部へのアクセスは、通勤や通学、買い物などの利便性を左右する重要な要素です。
公共交通機関を利用したアクセスを調べる際は、時間だけでなく電車の混み具合や乗り換え回数などもリサーチしておくことをおすすめします。
なお、フレックスタイム制が導入されていて出退勤時間を比較的自由に決められたり、リモート環境が整っていて出勤回数が少なかったりするのであれば、都心から多少離れていても許容できるかもしれません。また、将来の延伸計画なども考慮しておくと良いでしょう。
生活・教育環境
生活・教育環境は、快適な暮らしを送るために重要な要素です。
子育て世帯であれば、学校や保育園などの教育環境、スーパーやコンビニなどの生活環境が充実しているかどうかをチェックしましょう。
また、公園や図書館などの公共施設が充実しているかどうかも、チェックしておくのがおすすめです。
子どもの遊び場や学習の場として利用できます。
東京都内の生活環境や教育環境は、地方に比べて充実していると考えられますが、地域によって差はあるため、実際にその場所で暮らす人から話を聞いてみるのも参考になるでしょう。
首都直下地震の被災リスク
首都直下地震は、いつ発生してもおかしくないといわれています。
阪神淡路大震災を皮切りにここ30年ほど日本においては震度7クラスの地震が頻発しており、内閣府の情報によると30年以内に約70%の確率でM7以上の首都直下地震が起こるといわれています。
そのため、東京都内で注文住宅を建てる際には、まず何よりも地震に強い構造の住宅であることを確認しましょう。
そのうえで、ハザードマップなどを参考に地震発生時の避難場所や防災対策も事前にチェックすべきです。
さらに地盤沈下や液状化のリスクについても考慮する必要があります。
災害リスクについては、住宅会社が専門的な知識を持っていることも多いため、事前によく話し合い、万が一被災しても自分と家族の安全を確保できるように対策しておくことが重要です。
また住宅性能については、2016年4月の熊本地震や2024年1月能登半島地震における住宅の倒壊状況などを考えれば、耐震等級3はマストだといえます。
なお、東京都内で注文住宅を建てる際には、上記以外にも次のポイントをチェックすることをおすすめします。
- 騒音環境
- 周辺の建物の高さ
- 将来的な都市計画
都内で注文住宅を建てる際には、これらのポイントを総合的に判断して、最適な土地を選ぶことが重要です。
まとめ
東京都で注文住宅を建てる際には、まず土地の高さがネックとなります。
しかし、23区内にも比較的安く購入できる土地は存在し、さらにさいたま市などのベッドダウンまで範囲を広げれば、都心部へのアクセスの良さを確保しながら、理想の注文住宅を建てることは十分に可能です。
コストを抑えるためには、大手ハウスメーカーではなく、地元密着型の工務店も選択肢に入れるべきでしょう。
とくに狭小地の多い都内では、何かと融通の利く工務店に家づくりを依頼したほうがメリットは大きいかもしれません。
なお、東京都内においては、戸建て住宅ではなくマンションの購入も選択肢の一つに挙がるでしょう。
次の記事では、戸建てにすべきかマンションにすべきか迷った際の判断ポイントを詳しく解説していますので、マンションの購入も視野に入れている方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:戸建てかマンションか、迷う時に比較すべき6つのポイントとは?資産価値や広さ、騒音など判断基準を解説
筆者プロフィール 【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。 |