家づくりアカデミア

理想の家づくりを応援するメディア

戸建てかマンションか、迷う時に比較すべき6つのポイントとは?資産価値や広さ、騒音など判断基準を解説

マイホームの購入を考えたとき、戸建てとマンションのどちらにするか迷う方は多いと思います。

戸建住宅は自由度が高いが近所づきあいが避けられなかったり管理の手間がかかったりする一方で、マンションは利便性に優れているが家の広さを確保するのが難しいなど、それぞれのメリット・デメリットがあります。


本記事では、戸建てとマンションの比較ポイントを6つに絞り、深掘りして解説します。

これから家づくりを始める方はもちろん、住み替えを検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。



【戸建てorマンション】迷ったときの判断基準は?

住宅と拡大鏡


戸建住宅とマンションの違いは、価格や坪数、部屋数など、目に見える部分だけではありません。

生活スタイルや将来設計によって、重視するポイントは人それぞれです。


そこで本記事では、戸建住宅とマンションの比較時に、とくに注目すべき次の6つのポイントを解説します。


  1. 販売価格と資産価値
  2. ランニングコスト
  3. 家の広さ
  4. 騒音
  5. 近所づきあい
  6. 家の管理やリフォーム


それぞれのメリット・デメリットを理解することで、自分に合った住まいを選べます。


1. 販売価格と資産価値

住宅イメージとグラフ


戸建住宅とマンションの販売価格資産価値の違いは、どちらかを選択する上で非常に重要なポイントとなります。

販売価格は初期の購入コストを意味する一方で、資産価値はその不動産が将来どれだけの価値を持つか、すなわち再販時の価格や土地価値の推移などを示す指標です。

販売価格の違い

はじめに戸建住宅とマンションでは販売価格にどのような違いがあるのでしょうか。


これまでは、戸建住宅とマンションの販売価格に関して、一般的に戸建住宅の方が高い傾向にあると言われてきました。

これは、戸建住宅だと土地の購入費用に、マンションよりも多くの費用がかかるためです。

たしかに地方では今もこの傾向があるかもしれません。


しかし近年、マンションの価格が高騰しており、とくに首都圏ではその傾向が顕著です。

次の表は、不動産経済研究所による2018年から2022年までの首都圏における新築分譲マンションの平均価格データをまとめたものです。



あくまで平均ではありますが、傾向として新築分譲マンションの価格が年々上昇していることがわかります。

この傾向は今後も続くと予想され、2023年上半期のデータでは、首都圏の新築分譲マンションの平均価格が8,873万円(㎡単価132,1万円)と過去最高値を大幅に更新しています。

ただし、この結果は東京23区の平均価格が大幅上昇していることに主に起因し、首都圏のそのほかのエリアにおいてはここまで急激な上昇とはなっていない点にはご注意ください。


一方、戸建住宅に関しても、原材料価格の高騰などに伴い住宅建築費の上昇が見られます。

次の表は、国土交通省「住宅市場動向調査」による首都圏における注文住宅の建築費の推移をまとめたものです。



戸建ての場合、場所や広さによって土地の価格が大幅に変わることもあり、戸建住宅とマンションどちらが購入時の出費を低く抑えられるかは、状況によって異なります。

しかし、エリアによってはこれまでのように「戸建ては高いから、マンションにしておこう」という時代ではなくなったと言えるかもしれません。

資産価値の傾向

資産価値においては、戸建住宅とマンションにそれぞれ一長一短がありますが、いくつかの点で戸建てが有利な場面も多いと言えます。


ひとつは、戸建住宅の場合、将来の資産価値予測がしやすい点にあります。

住宅の高性能化により住宅の寿命が以前よりも長くなっており、適切な管理をしていくことで土地価値も含めて資産としての価値が長期間にわたって維持しやすいと言えるでしょう。


対照的に、マンションの場合にはいくつかのリスクが存在します。

とくに都心部など人気エリアであれば、交通利便性や生活利便性が高く、将来的にも需要が期待できるため、資産価値が高いと予想できますが、郊外のマンションでは状況が異なります。

日本の人口減少の影響を受け、郊外のマンションに住む人々が減少する可能性があるのです。

その結果、マンションの管理が行き届かなくなるリスクや、大規模修繕が予定通り行われないリスクが高まるでしょう。


さらに、戸建ての場合は管理や修繕について自分自身でコントロールが可能です。

これがマンションでは難しく、自分だけではどうにもできない部分が多く存在します。

これは資産価値に直結する重要なポイントです。


今後、中古住宅市場の規模は拡大していくだろうと予測されています。

この傾向が続けば、適切な管理や修繕を行っている戸建てやマンションは、将来的に好条件で売却するチャンスが高まるでしょう。

ただし、そのためには物件の管理が非常に重要となり、この点で戸建住宅がマンションよりも優位性を持つ可能性があります。


2. ランニングコスト

COSTと表示された電卓


戸建住宅とマンションのランニングコストは、一般的にマンションの方が高くなります

これは、マンションには管理費や修繕積立金、駐車場使用料などの費用がかかるためです。


  • 管理費:マンションの共用部分の維持管理にかかる費用
  • 修繕積立金:建物の老朽化に備えて積み立てられる費用
  • 駐車場使用料:駐車場を利用する場合に徴収される維持や管理のための費用


一方、戸建ての場合、基本的に管理費や修繕積立金、駐車場使用料などの費用がかかりません。

しかし、屋根や外壁のメンテナンス、庭の手入れなどの費用は、戸建住宅の方が高くなる傾向にあります。

また、光熱費に関しては、一般的にマンションの方が広くない分、低く抑えられるでしょう。

40年暮らす場合のトータルコストを試算してみる

一例ではありますが、仮に40年間暮らす場合に、戸建住宅とマンションそれぞれのトータルコスト(※)はいくらくらいなのか計算してみます。

※トータルコスト=住宅購入金額+ランニングコスト


なお、住宅購入費は戸建住宅を4,000万円、マンションを3,500万円と仮定します。

マンションのほうがイニシャルコストの面ではメリットがありそうですが、果たして結果はどのようになるでしょう。



※1 固定資産税:戸建住宅は4万円/年、マンションは6万円/年として計算

※2 管理費:1.5万円/月として計算

※3 修繕積立金:1.2万円/月として計算

※4 駐車場使用料:1.5万円/月として計算


簡易的な計算ではありますが、戸建住宅の購入費用の方が500万円ほど高いにもかかわらず、トータルコストで見ると約1,000万円もお得になっていることがわかります。

このようにマンションの方が、購入金額は低く抑えられたとしても、ランニングコストなどを加味したトータルコストは高い傾向にあります。


ただし、上表の結果はあくまで試算です。そのため、自動車の保有状況や修繕の必要性などによって、トータルコストは大きく変化する可能性もあります。

また、光熱費や都市計画税、庭の管理費など上記の表では考慮に入れていない出費もあるため、それぞれの状況に照らし合わせて計算してみることをおすすめします。


3. 家の広さ

住宅の間取り図


家の広さは、住まい選びの重要なポイントのひとつです。

戸建住宅とマンションでは、広さや間取りに関して、それぞれにメリットとデメリットがあります。

戸建ては広い

住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(2022年度)によると、全国の新築住宅における平均延床面積は、注文住宅で122.8㎡、建売住宅で101.9㎡、マンションで65.7㎡という結果が出ています。

つまり、戸建住宅はマンションよりも、1.5倍から1.8倍ほど広いのです。

間取り(部屋数)の比較

戸建住宅の一般的な間取りは2階建て4LDKと言われています。

一方、マンションの場合、2LDKもしくは3LDKが一般的な間取りです。また、リビングや各部屋の広さにおいても戸建ての方がスペースを大きくとることができるでしょう。

在宅ワークの普及などに伴い、独立した部屋を持ちたいと希望する人も増えています。

広さだけでなく、間取りや部屋の数は戸建てかマンションか選ぶ際の重要なポイントになります。

コンパクトな住宅にもメリットはある

広い家は、ゆったりと暮らすことができるメリットがあります。しかし、必ずしも広いことが良いばかりとは限りません。

たとえば、平屋住宅やマンションでは、生活動線がシンプルになり、暮らしやすさが向上します。

また、老後のことを考えると、ワンフロアであることは、足腰が弱くなってきたとしても、移動や掃除が楽になるというメリットがあります。

子育て中は広さや部屋数が多いと便利

子育て中に関して言えば、マンションに比べ、戸建てのように広いスペースが確保できていたり部屋数が多かったりするほうが、子どもの遊び場や勉強スペースを確保しやすくなるため、便利と言えます。

また、思春期の子どもにとって独立した部屋は重要な問題です。自分の部屋で、勉強や趣味に集中できる環境を整えてあげることが大切です。


4. 騒音

住宅の間取り図


マンションから戸建住宅に住み替える方が抱える問題のひとつとして、騒音問題が挙げられます。

マンションの騒音問題

マンションでは、左右の部屋はもちろんのこと、上下の部屋とも接しています。

最近は防音性の高いマンションが多くなってきていますが、子どもの大きな声やドタバタと走り回る音が原因となるトラブルが発生するのはよく聞くところです。

また、夜間の掃除機や洗濯機の音が迷惑になるという声も少なくありません。

戸建てへの住み替えによるメリット

戸建住宅であれば、隣家や上下の部屋との距離が離れているため、騒音トラブルが発生する可能性が低くなります

また、自分の土地で建てた家であれば、防音対策のリフォームを行うなど対策をとることも可能です。


5. 近所づきあい

町内会と書かれたボードを見つめる住民


戸建住宅とマンションでは、近隣の方とのつきあい方にも違いがあります。

戸建住宅は地域との関わりが強い

戸建住宅の場合、任意ではありますが、地域の町内会や自治会に加入することが多いでしょう。

町内会や自治会は、地域の安全や防災、コミュニティの活性化などを目的として、住民が自主的に組織する団体です。


町内会や自治会では、地域清掃やお祭り、運動会など、さまざまな活動への参加を求められます。

また、地域の安全を守るために、防犯パトロールや防災訓練などにも参加することもあります。


ただし、このように地域コミュニティとの密接な関係を基本とする戸建住宅の地域とのつきあい方ですが、時代の移り変わりに伴い、行事のとりやめなど地域活動が縮小化している傾向にあるのは事実です。

マンションは人間関係が希薄な傾向にある

マンションの場合、マンション内で人間関係が完結することが多いでしょう。

マンションでは、住民が共同で管理組合を組織し、マンションの管理や運営を行うことが一般的です。


管理組合では、ゴミ出しや駐車場、エレベーターなどのルールを定め、それを守るための活動を行います。

また、マンションの修繕や改修なども管理組合の管轄です。


なお、管理組合への加入は法律で決められた義務です。一組合員の立場であれば日常的な業務は基本的にありませんが、管理組合の役員に選出された場合は、マンションの運営に責任を負うことになります。


このように戸建住宅とマンションでは近隣住民とのつきあい方に違いがあります。

最近は昔に比べ近隣住民との密接な関係を希望しないケースも多く、そういった匿名性を確保しやすい環境なのはマンションだと言えるでしょう。

ただし、管理組合の方針やカラーによってはイベントへの参加が強制されるなど、思っていたつきあい方とは違ったというケースも考えられるため、注意しなければなりません。


6. 家の管理やリフォーム

設計図を眺める男性


戸建住宅とマンションでは、家の管理やリフォーム・修繕方法においても大きな違いがあります。

戸建住宅は管理や修繕をすべて自分で行う

戸建住宅は、マンションとは異なり自分の所有物であるため、自分ですべての管理や修繕を行う必要があります。


まず、戸建住宅には庭が付いていることが多く、雑草や落ち葉などの手入れが必要です。

場合によっては、庭木の剪定や伐採なども必要になることがあります。


また、外壁や屋根は、経年劣化によって傷んでいきます。傷んだまま放置すると、雨漏りや防水性能の低下などの原因になります。外壁・屋根の塗装は、10年〜15年ごとに行う必要があります。

住まいづくりの際はメンテナンスの必要性についても考慮しながら、仕様の選択をしていくと良いでしょう。

マンションでは管理費や修繕積立金を徴収する分、個人の手間は少なくなる

マンションは、共用部分と専有部分に分かれています。共用部分の管理や修繕は、管理組合が行うことが一般的です。

そのため、戸建住宅に比べて、自分で行うメンテナンスなどは少ないと言えます


また、ゴミ出しに関しては、マンションの場合、ゴミ出しは共用ゴミ置き場にまとめて出します。

戸建住宅のように、地域のゴミ収集場所まで持ち運ぶ必要がなく、ゴミを出せる曜日や時間を問わないケースも多いため、利便性に優れていると言えるでしょう。


さらに、マンションの場合、屋根や外壁などの修繕は、管理組合が主導して行うことが一般的です。

修繕費は、管理費や修繕積立金から賄われます。


まとめ:戸建てorマンションの最適解は、ライフステージや生活スタイルによって異なる

本記事では、戸建住宅とマンションの違いやそれぞれのメリット・デメリットについて、6つのポイントを紹介しました。


  1. 販売価格と資産価値
  2. ランニングコスト
  3. 家の広さ
  4. 騒音
  5. 近所づきあい
  6. 家の管理やリフォーム


このほかにも、日当たりやセキュリティ、災害への対応、ペット飼育環境など判断基準となる要素があります。

重要なのは、戸建てorマンションの最適解は、ライフステージや生活スタイルによって異なるという点です。


モデルハウス見学などで住まいづくりの具体的イメージを膨らませながら、新たな暮らしに何を希望するのか、どこを重視するのか、家族と時間をかけて話し合うことで、きっとベストな選択に近づけると思います。


埼玉県や東京西部を施工エリアとする「さいが設計工務」は、住宅性能にこだわった自然素材に囲まれた家づくりを特徴とする工務店です。

住宅のランニングコストや管理・修繕の手間についても重視し、長く快適に暮らせる住宅を提供しています。


埼玉県日高市にあるモデルハウスでは見学はもちろんのこと、実際に「試住」できる宿泊体験も実施しています。

戸建住宅を検討中の方はもちろん、現時点でマンションを購入しようと考えている方も、戸建ての特徴を体感できると思いますので、ぜひお気軽に見学・宿泊体験に参加してみてください。

日高モデルハウス | 埼玉・東京都西部の高気密高断熱注文住宅なら さいが設計工務


また、自宅にいながらモデルハウス見学ができる、バーチャルモデルハウスもおすすめです。

アカウント作成など不要で、パソコンやスマートフォンから、メタバース空間上のモデルハウスを見学できます。

VRモデルハウス メタバース支店 | 埼玉・東京都西部の高気密高断熱注文住宅なら さいが設計工務



筆者プロフィール

【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。


この記事をシェア

その他の記事

© 2023 さいが設計工務 高気密高断熱の家づくり