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ハウスメーカーと工務店の違いとは

住宅会社選びはマイホーム購入の第一歩です。

実は、この住宅会社選びで苦労、悩まれる方はたくさんいます。

なぜでしょうか?


1つには住宅会社の数の多さが原因として考えられます。

大手ハウスメーカーから家族経営の小規模工務店まで合わせると、少なくとも数十社、地域によっては100社以上の選択肢があることも決して珍しくはありません。

この中から自身の希望とマッチする住宅会社を見つけることはなかなか骨が折れるものです。


それでは、最適な住宅会社選びを行うためには一体どうすればいいのでしょうか?

以下2つが重要だと考えます。


・家づくりに対する希望に優先順位をつける

・住宅会社の家づくりに対するこだわりや特徴を知る


これらの作業をしっかりと行いながら住宅会社を探すことで、後悔しない・失敗しない家づくりを始められる可能性がグンと高まります。

そこで、本記事では住宅会社選びの助けとなるように、以下の内容について解説を行っています。


・ハウスメーカーと工務店の違いやそれぞれの特徴

・住宅会社選びのポイントやコツ


現在、住宅会社選びに苦労されている方はもちろんのこと、これからマイホームの購入を考えている方もぜひ本記事を参考にご自身とベストマッチする住宅会社を探してみてください。





ハウスメーカーと工務店の主な違い


実は、ハウスメーカーと工務店に明確な線引きはないとされています。しかし、主に施工エリアや事業規模によって、以下のように分類されることが一般的です。


ハウスメーカー

知名度が高く独自のブランドを持つ大手住宅会社。多くの営業拠点を持つため、施工エリアに関しては全国幅広く対応している。


工務店

間取りやデザインの自由度が高い地域密着型の住宅会社。施工エリアは市町村単位もしくは都道府県単位であることが多い。

また、ハウスメーカーほど大きくはありませんが、地方エリアを幅広くカバーするように営業活動を行う住宅会社のことをビルダーと呼ぶことがあります。


事業規模・施工エリア


それぞれの住宅会社は必ずしもライバル関係にあるわけではなく、ハウスメーカーが受注した注文住宅の現地施工を地域工務店が請け負うこともあります。また、工務店や設計事務所が協力関係を築いての家づくりもよく見られるケースです。


なお、ビルダーに関しては、工務店とハウスメーカーの間のかなり幅広い範囲に属する住宅会社を指しその種類もさまざまなため、本記事では割愛させていただきます。


さて、ハウスメーカーと工務店の違いは事業規模と施工エリアの広さだけなのでしょうか?


実は、その他にもビジネスモデルや家の建て方など、さまざまな違いがあります。



ハウスメーカーの特徴


▼ 規模・エリア

大手企業が多く全国に営業拠点を持っています。住宅展示場にモデルハウスを常設しており、年間棟数は数千〜数万戸です。


▼ 設計・デザイン

住宅は商品としてパッケージ化されており、ブランド化もされています。顧客はプランやグレードの中から、予算や希望に合わせて好みのものを選択します。細かな要望に対してはオプションを付けることで対応可能です。しかし、あくまで提示されたものの中から選ぶ形が主流であり、自由な設計・デザインには応じてもらえないこともあります。


▼ 建築工法

木造軸組工法(在来工法)だけでなく、ツーバイフォー(木造枠組壁式)工法や鉄骨造など幅広い工法に対応しています(ハウスメーカーによって対応可能工法は異なります)。工場で大量生産された規格化された部材などを使用することで、建築期間の短縮やコスト削減など効率化に努めています。


▼ 住宅性能

メーカーによっては自社研究施設を持ち、家づくりに独自の技術を取り入れている場合もあります。メーカーごとに得意分野は異なります。


▼ サービス

土地探しから資金相談、設計、建築、アフターサポートまで一貫したサービスの提供をしています。


▼ 価格

ハウスメーカーで家を建てると宣伝広告費など営業経費が住宅価格にも大きく転嫁されるため、割高になるとの認識が一般的です。しかし、ハウスメーカーの中にもローコストからミドル、そしてハイグレードと価格や品質には幅があります。



工務店の特徴


▼ 規模・エリア

主に地元密着型の中小企業が多く、地域に根ざした事業展開を行っています。モデルハウスを持たない場合でも、完成見学会やバーチャル見学会などに力を入れている工務店もあります。


▼ 設計・デザイン

オーダーメイド型の住宅設計が特徴です。顧客の細かなニーズに合わせた柔軟な対応を得意としています。また、地元の職人や専門家と連携し、独自の技術やデザインを生かした住宅を提供しています。


▼ 建築工法

木造在来工法が基本です。自然素材、国産木材、無垢材の使用など、素材にこだわりを持つ工務店も多くあります。また、地元の資材や伝統的な技法を取り入れた家づくりを得意とする工務店もあります。


▼ 住宅性能

寒冷地であれば高気密高断熱、災害が多い地域であれば高耐久など、地域の気候や風土に合わせた家づくりを得意としています。


▼ サービス

営業担当者だけでなく、設計士や大工と直接的なコミュニケーションが取れることで、施主の希望をダイレクトに伝えることが可能です。また、地元密着型のためアフターサポートも手厚く、何かトラブルなどがあった際はすぐに相談できるという安心感もあります。


▼ 価格

一般的には、ハウスメーカーで建てるよりもコストは抑えられると言われています。しかし、素材のグレードやこだわりの仕方によって価格に幅は生まれます。担当者と密接な関係を築けることが多いため、資金面の相談がしやすいことがメリットです。



住宅会社選びのコツ


ハウスメーカーと工務店には、規模やエリアの違いがあるだけでなく、設計やデザインの自由度、工法などにも違いがあるとわかりました。

それでは次に、実際にどのような手順を踏み住宅会社を選べばいいのか、そのポイントやコツとともに解説していきます。


家づくりに対する希望を明確にし優先順位をつける

家づくりで後悔しないためには、自分や家族が住宅に対して何を重要視するのかをはっきりとさせておくことが大切です。


価格、デザイン、間取り、住宅性能、素材など、もちろん1つに絞る必要はありません。しかし、あれもこれもと要望ばかりが多くなってしまっては家づくりがスムーズに進みません。


そこで、予算とも相談しながら、何を優先するのか順位付けしてみることをおすすめします。

優先順位が決まれば、自分たちの希望とマッチする住宅会社を候補として絞り込んでいくことが可能です。


インスタなどからの情報収集は有効だが、直接目で見て話を聞いてみないとわからないことも多い


家づくりに対して望むことが明らかになったら、次は各住宅会社の情報収集をしていきます。

最近では、インターネットはもとよりSNS、特にInstagramを活用して家づくりに関する情報を集めている方が多いようです。

注文住宅購入者を対象とした調査によると、約7割の方がInstagramを住宅選びの際に最も参考にしたツールとして挙げています。


注文住宅購入者調査

出典:PR TIMES「注文住宅購入検討者の「7割」がインスタを活用した情報収集を選択


SNSなどを活用した情報収集は非常に有効な手段であり、実際に各住宅会社もSNSや自社サイトでの発信に力を入れています。

一方で、住宅会社を選んだ決め手の第1位は「企業・担当者への信頼感」という調査結果もあります。


ハウスメーカー・工務店を選んだ決め手とは?

出典:PR TIMES「<調査結果>そのハウスメーカー・工務店を選んだ決め手は?1位『企業・担当者への信頼感』!


SNS上での印象が良かったとしても、実際に営業担当者と話をしてみたりモデルハウスを見学してみたりすると、想像していた家づくりのイメージと違っていたなんてことも少なくありません。

つまり、選択肢を絞り込むためのツールとしてInstagramなどのSNSは有効な手段ですが、決め手となるのは結局のところ実際に目で見て話をすることだということです。


オンライン上の情報だけで住宅会社を決めてしまおうとするのではなく、まずは各住宅会社のコンセプトや特徴を理解した上で、候補を3,4社に絞るところから始めましょう。

その上で、実際に現地に足を運び担当者と直接的なコミュニケーションを取ることで、イメージに相違はないのか、他社との違いはどこなのかなどさらに検討を進めていくことが、失敗しない住宅会社選びのコツです。


一軒一軒の家づくりに対するこだわりは工務店も負けていない


前章でハウスメーカーと工務店の違いについて解説しましたが、購入者視点で考えると、ハウスメーカーか工務店かという分け方をする必要はないかもしれません。


たしかに、大手ハウスメーカーは資本力もブランド力もあります。しかし、一軒一軒の家づくりに対するこだわりや丁寧さは地域工務店も決して負けていません。


中には、住宅会社選びに疲れてくると、大手ハウスメーカーの営業力に押されてしまい、ついつい「まぁここでいいか…….」といわば妥協した決定をしてしまう方もいるかもしれません。


しかし、購入者にとって大切なことは「自分たちの望む家づくりをしてもらえるのか」という1点です。

ハウスメーカーだから、工務店だから、といった思い込みをせず、自身の理想とマッチする住宅会社を慎重に見極めることが大切です。


友人知人からの口コミや体験談も参考に


友人や知人に注文住宅を建てた方がいれば、ぜひ話を聞いてみたり可能であれば家を見せてもらったりしましょう。

たとえ自分が候補としている住宅会社ではなかったとしても、実際に住宅会社選びを経験した方の体験はとても参考になります。


また、住宅会社の中には友人からの紹介制度などを設けている場合もあり、紹介であれば広告宣伝費などがかかっていないということで、価格交渉に応じてもらいやすいといった例もあります。



まとめ:自身の希望とマッチする住宅会社を見つけることが大切です


はじめに自分や家族が住宅に対して何を望むのかしっかりと優先順位を付け、それをもとに選択肢を絞り込んでいくことが、住宅会社選びにおける大切なポイントです。


最後に、ハウスメーカーと工務店それぞれどういった方にオススメなのかに関してまとめます。


ハウスメーカーがオススメの方の特徴


・知名度やブランド力を重視する

・デザインや間取りに対する細かなこだわりよりも一定レベル以上の品質を重視する

・土地探しや資金相談からアフターサポートまで一貫したサービスを求める

・鉄骨造やツーバイフォー工法など在来工法以外での建築を希望する

・使用部材や工事に対する安定した品質管理を重視する


工務店がオススメの方の特徴


・オーダーメイドの家づくりを希望する

・地元の木材を使用するなど、素材にこだわりたい

・地域の気候に合わせた住宅性能を重視する

・担当者との密接なコミュニケーションを重視する

・独自性のあるデザインや職人の高い技術力を求める

・地元密着型のアフターサポートを重視する

・希望の土地が既に決まっており、その土地の特性や形状に合わせた家づくりを希望する


多くの場合、家づくりは一生に一度の大きな決断ですから、住宅会社選びは慎重に悔いのない選択をしましょう。

本記事が参考となり、皆さんの住宅会社選びがスムーズに運ぶことを願っています。



筆者プロフィール

【フリーランスライター:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期より建築業界に親しみがあるが、自身は大学で数学を学ぶ(専門は位相幾何学)。現在はWEB業界で仕事をする一方、ライターとして金融分野や教育分野など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味のDIYや電気工事士の免許を活かし、一般の家庭が抱える住宅の悩みや要望にお答えするコンテンツを提供します!

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