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注文住宅の値引き交渉はOK?交渉によるリスクや適切なタイミングを解説

注文住宅を建てる際、コストを抑えるために値引き交渉を考える人は少なくありません。結論からいえば値引き交渉は可能です。しかし、強引な交渉はかえって不利益になる可能性もあります。


そこで本記事では、注文住宅の値引き交渉に潜むリスクと、交渉の最適なタイミングについて詳しく解説します。さらに、値引き以外でコストダウンを図る方法もいくつかご紹介。注文住宅を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。




【結論】値引き交渉は慎重に

値引き交渉の様子



注文住宅を建てる際、多くの人が値引き交渉を検討するでしょう。しかし現在、各住宅会社は原材料費の高騰などを吸収しながら、最大限努力した価格を提示していることが多いのが現状です。

そのため、安易な値引き交渉は、かえって交渉を滞らせる原因になりかねません。値引き交渉を行う場合は、慎重に進めることが重要です。


なお、下記の表は国土交通省が公表している不動産価格指数の推移です(令和5年12月分)。戸建住宅は2020年以降上昇傾向にあることがわかります。


 国土交通省が公表する不動産価格指数の推移グラフ

出典:国土交通省「不動産価格指数(令和5年12月分)


強引な値引き交渉にはリスクがある

値引き交渉を慎重に進めるべき理由として大きいのは、強引な値引き交渉が担当者との関係悪化を招く可能性がある点です。

インターネットやSNSを通じて価格情報なども広く知れ渡る現代において、値引きを前提にした価格を提示している住宅会社は一部であり、多くは限界まで営業努力を行った価格を提示しています。


そのような状況において、強引な値引きをお願いすれば、担当者との信頼関係が壊れてしまうのも無理はありません。もちろんケースバイケースではありますが、「値引き=一定のリスクを伴う」ことは忘れてはいけないでしょう。


また、強引な値引きは、手抜き工事につながるリスクもあるでしょう。

とくに、職人の手間が大部分を占めるような工事に関しては、値引きはNGです。人件費を値切るというのは、住宅会社にとってもっとも嫌なことの一つです。

建売住宅は注文住宅と比べて値引き交渉しやすい?

建売住宅の場合、売れ残っていれば値引き交渉も可能なことが多いでしょう。むしろ、会社側が時期を見て販売価格を下げる例もあります。

その理由は、建売住宅の販売にはデッドラインが定められていることが多いためです。


とくに、建売住宅は完成後一年を経過してしまうと、法律で「新築」と呼べなくなります(※)。

ケースバイケースではありますが、注文住宅と比べると建売住宅の方が値引き交渉しやすいといえるでしょう。

住宅の品質確保の促進等に関する法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)と定義されています。


関連記事:建売住宅と注文住宅の価格差はどのくらい?メリット・デメリットも解説


値引きを前提としたハウスメーカーも存在する

一部のハウスメーカーでは「値引き」をあえて最初から見積もりに入れることで「営業努力」をアピールしている場合もあります。このあたりは、口コミや実際にその会社で注文住宅を建てた知人などの話から判断するしかありません。


ただし、インターネット社会となり、価格情報も広く知れ渡る現代において、値引きを前提とした価格を提示する会社は減少傾向にあるようです。

昔と比べて、状況が変化しているといえるでしょう。


値引きをお願いするベストタイミング

ベストタイミングのイメージ



家づくりを進めていくなかで、気をつけていたつもりでも予算を少しオーバーしてしまうことは珍しくありません。

前章では値引きにはリスクが伴うと解説しましたが、「予算内に収まりさえすれば......!」という場面では、住宅会社の担当者に値引きをお願いしたくなるのは当然のことでしょう。それでは、値引き交渉をするなら、どのタイミングが最適なのでしょうか。

注文住宅の契約までの流れとは

値引きのベストタイミングを見極めるには、まず注文住宅の契約までの流れを理解しておく必要があります。

一般的な流れは以下の通りです。

  1. 複数の住宅会社から候補をピックアップし、概算見積もりを提示してもらう
  2. 概算見積もりをもとに比較検討を行う
  3. 依頼先が決まったら仮契約を結ぶ
  4. 本見積もり(詳細見積もり)を提示してもらう
  5. 本見積もりの内容に問題がなければ本契約へ進む

なお状況によって、概算見積もりを2〜3回取ることもあれば、仮契約後に本見積もりに納得できず、他社に依頼先を変更するケースもあります。

値引き交渉をするのであれば、本見積もりの打ち合わせ時に行うのが良い

概算見積もりは、主に他社との比較検討のためにあるものであり、細かな点まで詳細な金額を出すものではありません。また、営業担当者との関係が築けていない早い段階から値引きを要求すると、住宅会社側から「売りたくない」と思われてしまう可能性もあります。


一方、概算見積もりでの十分な比較検討を経て仮契約を結び、詳細を詰めていく打ち合わせの段階では、担当者も「お客様の希望を最大限叶えたい」という想いが強いため、値引きなどの交渉もしやすくなります。


ただし、過度な要求は担当者との信頼関係を崩す原因にもなりかねないので注意が必要です。あくまでも予算内に収めることを目標とした工夫の一つとして、値引き交渉に臨むようにしましょう。


なお、値下げ交渉をするなら、既製品を使用している箇所など材料費がメインの部分が良いでしょう。住宅会社が設備メーカーと交渉してくれるケースもあります。


前章でも述べたように、職人の手間が大部分を占める工事での値引きはNGです。人件費を値切ることは、住宅会社にとってもっとも嫌なことの一つなのです。


値引き交渉以外で注文住宅のコストを下げる方法は?

コストを下げるイメージ


注文住宅の資金計画において、実は値引き以外にもさまざまな方法でコストを下げることが可能です。

本章では、いくつかの方法をご紹介します。

検討初期の相見積もり

特定の住宅会社で建てることを強く希望している場合を除き、検討初期段階では複数の住宅会社をピックアップし、相見積もりを取ることをおすすめします。

注文住宅の適正価格はわかりにくく、多くの施主にとって初めての住宅購入となるため、知識不足が明らかなためです。


概算見積もりの時点で複数社から見積もりを取り比較検討することで、予算との大幅な乖離を避けられます。

住宅展示場などを見学すると、最初に入った展示場がとても良く見えてしまい、ついつい話がどんどん進んでしまいそうになりますが、ここはグッとこらえましょう。他社と比較してみて初めてわかることがかならずあります。

依頼先にある程度の目星は付いていたとしても、最低4〜5社をピックアップし、ゆっくりと比較検討を行うのがおすすめです。

建材や設備のグレードの見直し

多くの人が住宅購入に対する予算を決めていますが、物価上昇や原材料費高騰の影響で住宅価格は上昇傾向にあります。そのため、従来の相場とされていた予算内では収まらないケースも多々あるのです。


予算オーバーとなってしまった場合、希望に優先順位をつけ、場合によっては採用する建材や設備のグレードを調整することを検討するのも一案です。たとえば、キッチンや浴室を住宅会社が取引の多い比較的安価に仕入れられるメーカーのものに変更すると、住宅の性能を保ちつつコストダウンが見込めます。また、住宅会社によっては、標準仕様からのダウングレードが可能で費用を下げられることもあります。


予算オーバーで悩む際は、ぜひそのことを正直に住宅会社の担当者に伝えてみましょう。良いアイデアを一緒に考えてくれるはずです。


関連記事:注文住宅で予算オーバーした場合の解決策 | 削るべきポイントとは


補助金・助成金の活用

国や自治体は、住宅購入に関わるさまざまな補助金制度や助成金制度を用意しています。

子育て家庭向けのものや移住者向けのもの、太陽光パネル設置のためのものなど、多岐にわたります。


これらの制度は通常、毎年予算や枠が決まっており、上限に達すると打ち切られることも多いため、こまめに情報をチェックしタイミングを見計らって利用するのがおすすめです。

キャンペーンの利用

大手ハウスメーカーでは、季節ごとにオプションサービスなどのキャンペーンを実施している場合もあります。

キャンペーンは公式サイトや各種SNSで明示されていることもあれば、商談中の人にしか提示されないこともあるため、狙い撃ちするのは難しいかもしれません。


しかし、タイミングが合えばこういった期間限定キャンペーンを利用することで、結果的に値引きが受けられたり、オプションサービスをつけてもらえたりすることになります。

知人・友人からの紹介制度を活用

多くの大手ハウスメーカーでは、知人・友人・家族などからの紹介で、建物価格の数%を値引き、または数十万円分のオプションをサービスする独自の紹介制度を設けています。ただし、住宅展示場に見学に行ったり商談に入ったりしたあとには値引きを適用できないケースも多いため、注意が必要です。


候補になりそうな住宅会社があれば、直接コンタクトを取る前に、周りにその会社で家を建てた人がいないか探してみるのがおすすめです。

勤務先の福利厚生を確認

職場によっては、福利厚生の一環としてハウスメーカーの割引制度を用意しているケースがあります。


たとえば「建物本体価格から3%値引き」などといった形で提供されている可能性があるため、一度チェックしてみると良いでしょう。

たとえ3%であっても建物本体価格が3,000万円であれば、100万円近い値引きが受けられることになります。


まとめ

本記事では注文住宅を建てる際の値引き交渉について、さまざまな観点から解説してきました。

強引な値引き交渉はリスクが伴うため、注文住宅を建てる際の値引き交渉は慎重に行いましょう。なお、値引きをお願いするのであれば、本見積もりの打ち合わせ時がおすすめです。

間違っても人件費を値切るような行為は行わないようにしましょう。


また値引き以外にも、コストを下げる方法はさまざまあります。

複数社から相見積もりを取る、建材や設備のグレードを見直す、補助金・助成金制度を活用する、キャンペーンや紹介制度を利用するなどです。

予算内で理想の家を建てるために、値引き交渉だけにとらわれず、さまざまな角度からコストダウンの方法を検討することが肝心です。



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筆者プロフィール
【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。























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