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注文住宅で予算オーバーした場合の解決策 | 削るべきポイントとは

「注文住宅の予算をしっかりと設定していますか?」

「家づくりにおける優先順位を家族と話し合っていますか?」


建売住宅と異なり注文住宅は最終的な総額がなかなか決定しません。契約前に見積もりを出してもらえますが、注文住宅は自由度が高い分、契約後に追加費用が発生するというケースも珍しくないのです。

注文住宅を建てる際は、そういったことを理解した上で、予算を見込んでおくことが大切になります。


本記事では、新築の注文住宅を建てる際に予算オーバーしてしまったケースを想定して、費用の削減を検討すべきポイントや逆に削るべきではないポイントについて掘り下げて解説しています。

記事後半では、ハウスメーカーと工務店の費用の違いや坪単価についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。





予算オーバーのまま家づくりを進めることのリスク

計算する女性


住宅購入は一生に一度とも言われるほど大きな買い物です。何千万円という金額を支払うことになるため「300万円のオーバーなら仕方ないか.....」と金銭感覚が麻痺してしまうこともあるかもしれません。

しかし、そのような考え方には注意が必要です。

あいまいな予算設定と決断のせいで次に紹介する状況に陥ってしまい、最悪の場合、家を手放さなければならなくなるといった事態に発展するかもしれないのです。

住宅ローンを支払いが厳しくなり将来設計が崩れる

住宅購入をする際、多くの方が住宅ローンを利用します。

予算をオーバーしたまま家づくりを進めると当然毎月の住宅ローン返済額は増加します。さらに金利による増加分もあるため、想像以上の負担増となる可能性もあるのです。

住宅ローンを予定通り支払っていくためにも、住宅購入前に自身の収入や支出から毎月の支払い可能額を逆算し、予算を明確にしておくことが重要です。また、ファイナンシャルプランナーなどに依頼し長期的な支出にも目を向けたライフプランを作成することで、住宅ローンとして負担できる金額の限度を知っておくことも大切になります。

さらに追加費用が発生する可能性もある

建売住宅やマンション購入と比べて、注文住宅は追加費用が発生しやすいと言えるでしょう。

家づくりの自由度が高い分、本契約後にデザインの変更や造作家具の追加などがしやすく、当初の見積もりから大幅に増額してしまうケースもあります。また、家づくりにかかる費用は土地の購入費用や建物の工事費用だけではありません。

各種税金や住宅ローン手数料、火災保険料、家具家電購入費用、引っ越し費用など諸費用だけでも決して少なくはない費用がかかります。


多くの良心的な住宅会社はこれらの諸費用も含めた総額を提示し、予算と比較した上で家づくりを進めてくれますが、なかには契約を取りたいがために見積もりに本来入れるべき費用が入っていないようなケースもあるのです。

そのため、最終的な総額はいくらになるのかを逐一確認しながら家づくりを進めていくことをおすすめします。


注文住宅で予算オーバーしたときに優先的に削るポイント

家のイラストが描かれた積み木


注文住宅の家づくりはどれも同じということはありません。

間取りやデザインなど見た目の部分も異なりますが、どこに費用をかけるのかという点も一軒一軒異なるのです。そのため、仮に予算オーバーしそうになったときはまず施工会社の担当者と相談するのが第一です。

予算オーバーの金額がそれほど大きくなければ、標準仕様のグレードを少し変更するだけで予算内に収まる形にできるかもしれません。


その点を踏まえた上で、本章では検討段階での見積もりで予算オーバーしてしまったときの一般的な解決策を紹介します。

どの程度予算オーバーしたのかによってどこを削るべきかは異なりますが、見積もり額が予算を大幅に超えてしまっている場合は、まず大きく削れるところから考えていくことをおすすめします。

土地

注文住宅においては希望の土地があらかじめ決まっているケースも多いと思いますが、もし可能であれば、土地の広さや場所を再検討してみると大幅なコストダウンが見込めるかもしれません。

検討エリアを広げてみる、日当たりや広さなどの希望条件を緩めてみるなどしてあらためて土地探しをおこなうことで、場合によっては当初購入を考えていた土地よりも100万円以上コストを抑えられる可能性もあります。

建物の形状や構造

建物全体の形状や構造の変更も大幅なコストダウンを見込める一つの方法です。

たとえば、家の凹凸をできる限りなくすかつ総二階(※)にすることで、外壁や屋根の面積が減少するため、費用が安くなります。また、ベランダやガレージなどの必要性の見直し、家の中に関しては廊下やホールを極力少なくした間取りを考えることもコストダウンにつながるでしょう。


もちろん、希望の外観や間取りをどの程度実現するのかよく担当者と相談しながら、家づくりを進めていくことが大切です。

※1階と2階がほぼ同じ面積・つくりをした住宅のことです。

窓の大きさや数

建物自体の大きさを変更せずにコストダウンする方法として窓の大きさや数を変えるといった手もあります。

特にリビングなどにデザイン性を優先した大きな窓がたくさん付いているような場合は、部分的に窓を小さくしてもらうことでコストカットできるかもしれません。

窓は家の中でもっとも熱の出入りがある場所の一つのため、窓を小さくすることで住宅の断熱性が向上するというメリットもあります。ただし、窓に関しては多くの住宅メーカーで標準仕様の種類や大きさ、数が定められていることも多いため、場合によっては窓の変更には応じて貰えないこともあるでしょう。

一度担当者に「窓の部分でコストダウンする方法はありませんか?」などと聞いてみることをおすすめします。

収納や造作家具

たとえば各部屋に収納が点在しているようなつくりになっている場合であれば、ウォークインクローゼットのように収納場所をある程度まとめることでコストダウンができるかもしれません。また、洗面台など造作家具の設置を予定している場合は、既製品に入れ替えることで、こちらも費用を抑えられるでしょう。

設備の有無やグレード

水回り設備や冷暖房設備など、家づくりにおいては設備の設置にも多くの費用がかかります。

それらの設備のグレードを下げたり、施工会社が得意としている(大量仕入れなどによって安く仕入れられる)メーカーのものを選んだりすることで、コストを大きく下げられるかもしれません。

家づくりが進むにつれ、金銭感覚も麻痺し、どうせならと上のグレードのものを選択しがちになりますが、本当に必要なものかどうか、面倒でも一つひとつ確認をしていくことが予算内で注文住宅を建てるコツです。


極力削るべきではないポイント

夕日を包む両手


注文住宅を建てるにあたって仮に予算オーバーしたとしても極力削るべきではないポイントもあります。

それはずばり住宅性能です。

次に紹介する住宅性能にかける費用を削ってしまうことは、入居後の住みごこちの悪化に直接つながるため注意が必要です。

耐久性・耐震性

耐久性や耐震性は、いくらお金をかけてもそう簡単には取り戻せないものであり、削減すべきポイントではありません。

耐久性とは、建物の構造や部材の強度によって、経年劣化や災害に耐える能力を表します。

耐震性とは、地震の揺れに耐える能力を表したものです。耐久性や耐震性が低い家は、経年劣化によって建物が傷みやすくなり、災害の際には倒壊や損傷のリスクが高まります。そのため、住む人の安全や安心を守るためにも、耐久性や耐震性はしっかりと確保しておくことが重要です。

気密性・断熱性

耐久性・耐震性と同様に削るべきではないポイントが気密性・断熱性です。

気密性とは隙間をできる限り減らし、室内の空気を屋外と分断する性能のことです。

 断熱性とは、家の壁や窓、屋根などが外気の影響をどれだけ受けずに、屋内で快適な温度を保てるかを示す指標になります。


気密性や断熱性が高いと、外気の影響を受けにくく冷暖房効果が上がります。

気密性と断熱性は暮らしの快適性、それから健康状態にも直接影響するため、多少費用をかけたとしても一定水準以上のものを確保しておきましょう。

なお、2025年4月からは新築住宅における省エネ基準への適合が義務化されるため、そもそも断熱等級4以上の断熱性能が求められるようになります。

義務化に伴い、2024年1月からは住宅ローン控除の制度内容に変更が加えられ、住宅性能が低い家は控除を受けられなくなる可能性もあるため、こういった観点からも気密性・断熱性の確保は重要だと言えます。


関連記事:住宅ローン控除を2024年以降に利用する際の注意点 | 省エネ性能必須化

それでも予算内に収まらない場合の解決策

CHOICEという文字とたくさんの矢印


ここ数年、住宅関連費は高騰しており、予算のイメージと見積もりがそもそも大幅に乖離しているといったことも考えられます。

その結果「さまざまな工夫をしてみたけど、どうしても予算に収まらない」といった場合は次に紹介する解決策を検討してみてください。

今すぐに使わない設備の導入や外構工事などを先送りにする

今後数年間は使わない予定の部屋のエアコンや家具、急ぎの必要がないウッドデッキや庭のフェンスの取り付けなど、先送りにできるものを調整することで、コストダウンが見込めます。

ただし、家づくりの時点でほかのものと合わせて工事や取り付けをおこなってしまう方が手間や人件費を抑えられるものもあるため、なんでも先送りにすれば良いというものでもありません

さらにいずれ必要となるものに関しては、今後のライフプランにしっかりと組み込んでおくことが必要です。

住宅会社の再検討をおこなう

坪単価という考え方を耳にしたことがある方も多いでしょう。

坪単価とは、家を建てる際に1坪(約3.3㎡)あたりどれくらいの費用がかかるのかを示すもので工法や採用している建材や設備などによって上下します。

坪単価は住宅メーカーによって30万円程度から100万円近くまで大きく幅があります。


さまざまなアイデアを出して見積もりを調整してみたけど、どうしても予算内に収まらないという場合には、住宅メーカー自体を変更するというのも一つの方法です。

その際は、今よりも坪単価が低い住宅メーカーを探してみるとコストダウンにつながりやすいでしょう。特に大手ハウスメーカーで検討していて予算に悩む方は、地域の工務店で相談してみることをおすすめします。

一般的に大手ハウスメーカーよりも余計な宣伝広告費などが発生していない分、家づくり全体にかかる費用は低く、また自由度が高いため、コストを抑えるためのさまざまな工夫に応じてもらえる可能性も高くなります。ただし、本契約後に住宅メーカーを変更するとなると違約金やそれまでに発生したコストに関しては負担しなければならないため、契約解除に関しては慎重におこなわなければなりません。


関連記事:ハウスメーカーと工務店の違いとは


まとめ

本記事では、新築の注文住宅を建てる際に予算オーバーしてしまったときの解決策について、費用の削減を検討すべきポイントと削るべきではないポイントについて解説してきました。

記事内で紹介した各ポイントはあくまで一般論であり、実際は家づくりをおこなう皆さんが何を希望するのか、どこを優先順位として高く設定しているのかによって費用の削減を検討すべき箇所は異なります。

逆に優先順位や予算があいまいな状況で家づくりを進めてしまうと、完成後に後悔することにもなりかねません。

注文住宅の場合は特に予算の立て方から優先順位の付け方まで住宅会社の担当者とよく相談をして、家づくりを進めていっていただければ幸いです。



埼玉県に拠点を置く「さいが設計工務」は、地場工務店として土地選びからアフターフォローまで住宅購入を全面的にバックアップしています。断熱性や気密性といった住宅性能を重視しつつ、それぞれの予算に応じた自由度の高い家づくりを提供しています。モデルハウスでは見学の他、宿泊体験も実施していますので、説明だけでは実感しづらい住宅性能をじっくりと体感してみてはいかがでしょうか。

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筆者プロフィール
【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。
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