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貯金なしでもOK?40代でマイホームを購入する際の頭金と住宅ローンを徹底解説

「40代でのマイホーム購入はもう遅い」そのような言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

はたして本当でしょうか?


「40代」人によっては子育てが一段落し、家族構成や収入が安定してくるこの時期は、将来を見据えた大きな決断をする絶好のタイミングともいえます。しかし、頭金の準備や住宅ローンの審査など、クリアしなければならない課題があるのも事実です。


本記事では、40代でマイホームを購入する際の頭金と住宅ローンについて、完済までのシミュレーションも交えながら、要点を掘り下げて解説していきます。40代で住宅ローンを組むことに不安を感じている方は、ぜひご一読ください。




40代でのマイホーム購入は決して遅くない

マイホームのイメージ


20代後半から30代にかけて、結婚や出産を機に家を建てたりマンションを購入したりするケースは多いでしょう。しかし、なかには仕事の事情から、また経済的事情からマイホームを購入する決断が取れない場合も当然あります。

「家を買うのはもう少しあとでも良いか……」

そのように考える一方で、住宅ローンの審査が厳しくなるのではないかと不安も感じることもあるかもしれません。


はたして、40代でのマイホーム購入はタイミングとして遅すぎるのでしょうか。


マイホーム購入者の平均年齢

国土交通省の調査によると、初めて住宅を購入した世帯における世帯主の購入時の平均年齢は以下の通りです。


住宅購入者の平均年齢

出典:国土交通省在宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書


上記調査の結果を見る限り、注文住宅や分譲マンションの購入の平均年齢は約40歳です。また、同調査によると注文住宅購入者の年齢について、割合としては30代での購入が45.1%ともっとも多く、40代での購入は22.6%と2番目に多いとのことです。


以上から、40代(とくに40歳前後)でのマイホーム購入は決して遅いわけではなく、平均的であることがわかります。


40代でのマイホーム購入を左右する要素の一つは「住宅ローン」

住宅ローンのイメージ


40代でマイホームを購入することは、珍しいことではありません。実際、多くの人が40歳前後でマイホームの購入を検討しています。しかし、その際に大きな懸念材料となるのが住宅ローンです。


住宅ローンは、多額の借入金であるため、返済期間も長期にわたります。

40代でマイホームを購入する場合「一体いつまでなら住宅ローンを組めるのか?」という疑問が浮かぶのは当然のことでしょう。

仮に40歳から35年ローンを組むなら、完済時には75歳になります。はたしてこれは現実的なのでしょうか。


そこで本章では住宅ローンの返済期間や年齢制限、団信(団体信用生命保険)について掘り下げて解説します。

住宅ローンの平均返済期間

国土交通省の調査によると、住宅ローン利用者の平均返済期間は以下のとおりです。


 住宅ローン平均返済期間

出典:国土交通省在宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書


一般的な金融機関の住宅ローン借入最長期間は35年間ですが、上記データから実際の住宅ローン完済までの期間は新築戸建住宅であれば約33年、分譲マンションであれば約30年と考えるのが妥当でしょう。

住宅ローンの年齢制限

住宅ローンを申し込む際、借り手の年齢は重要な要素の一つです。

民間の金融機関が取り扱う住宅ローンの申し込み年齢は、一般的に満18歳以上70歳未満とされています。ただし、金融機関によって多少の差があり、65歳以上になると住宅ローンを組めなくなる場合もあるので注意が必要です。


住宅ローンの借入期間は最長で35年間が一般的です。また、完済時年齢が80歳以上になるような形では借入ができません。つまり、35年ローンを組む場合、借入時の年齢が45歳未満であることが条件となります。


しかし、80歳までローンの支払いを続けるのは現実的ではありません。

高齢になるほど、健康上の理由で収入が途絶えるリスクが高まるからです。また、一般的に定年退職後は収入が減少するため、無理のない返済計画を立てる必要があります。


そこで、住宅ローンの完済時期は、年金受給開始(65歳ごろ)までか、遅くとも70歳ごろまでに設定することをおすすめします。この年齢までに完済できるよう、借入期間や月々の返済額を調整しましょう。

団信(団体信用生命保険)にも注意

住宅ローンの利用が可能かどうかは、借り手の年齢だけでなく、団体信用生命保険(団信)への加入も大きく影響します。民間の金融機関では、住宅ローンの利用にあたって団信への加入を義務付けているケースがほとんどです。


団信への加入には健康状態の告知が必要であり、年齢が上がるほど病気のリスクも高まります。がんなどの病気を患っていたり、健康状態に問題があると判断されたりした場合、団信への加入が認められず、結果として住宅ローンを組めない可能性もあるのです。


なお、日本住宅金融支援機構が提供するフラット35では、団信への加入は任意となっています。


住宅ローンは高額な借入金を長期間にわたって返済していく必要があるため、返済期間中の健康リスクには十分な注意が必要です。団信への加入が困難な場合は、住宅ローンの利用そのものが難しくなる可能性があることを理解しておきましょう。

50代で住宅ローンを組むことも可能?

50代でも住宅ローンを組むことは可能です。一般的に、住宅ローンの申し込み年齢は満18歳以上70歳未満とされています(※金融機関によっては満65歳までとしている場合もあります)。

また、多くの金融機関では、完済時の年齢が70歳から80歳未満であれば融資を受けられるため、50代でも20年や25年ローンを利用してマイホームを購入することは十分可能です。


ただし、50代での住宅ローン申し込みは、若い世代と比べると審査がより厳しくなる傾向にあります。収入や健康状態、団体信用生命保険(団信)への加入可否などが重要な審査ポイントです。一部の金融機関では「ワイド団信」と呼ばれる、保障内容を拡大した団信商品を提供しており、持病がある方でも加入しやすくなっているケースもあります。


50代で住宅ローンを組む場合、定年退職などによる収入減少のタイミングが近づいていることも考慮しなければなりません。

返済期間中の収支バランスを考え、無理のない資金計画を立てることが極めて重要です。


将来的な収入の見通しや貯蓄状況、ライフプランなどを総合的に判断し、慎重に住宅ローンの利用を検討するようにしましょう。必要に応じて、専門家に相談するのも良い選択肢です。


40代でマイホームを購入する場合の頭金はいくらがベスト?

 住宅ローンを検討する様子


住宅ローンの負担を軽減するために、まず検討すべきことは頭金を多く用意することです。

40代のサラリーマンが65歳で退職すると仮定した場合、十分な収入がある期間は約20年間です。そのため、40代でマイホームを建てる際は、住宅ローンの返済期間をできる限り短く設定するのが賢明といえます。


返済期間を短縮するには、次の2つの方法があります。

  • 頭金を多く用意する
  • 毎月の返済額を大きく設定する


頭金を多く準備することで、借入額を減らすことができます。その結果、毎月の返済額を抑えつつ、返済期間を短くすることが可能になります。

一方、毎月の返済額を大きく設定することでも、返済期間を短縮できるでしょう。ただし、この方法は月々の負担が大きくなるため、収入と支出のバランスを十分に考慮する必要があります。

頭金(手持金)の目安

フラット35利用者調査(2022年度)によると、マイホーム購入者の頭金(手持金)の全国平均値は以下の通りです。

 頭金の平均値

出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2022年度)

( )内は購入価額を100.0とした場合の割合


注文住宅であれば、総額の15%〜20%程度が頭金の目安であり、分譲マンションであれば、総額の20%程度が頭金の目安だとわかります。

たとえば3,500万円の注文住宅を購入するのであれば、総額の15%つまり525万円以上は頭金として用意しておくのが平均的だといえるでしょう。


頭金なしも不可能ではない

住宅ローンを利用する際、頭金の平均値を見て「こんなに用意できない」と思う人もいるかもしれません。

たしかに、頭金を多く用意することは、住宅ローンの負担を軽減するために有効な方法ですが、貯金が十分ではないなどの理由で頭金を用意できない場合もあるでしょう。


しかし、住宅ローンは頭金なしでも利用可能です。金融機関が融資できる上限額は、借り手の年収などによって決まります。この際「年収倍率」という考え方が重要です。


年収倍率とは、年収の何倍までを融資額の上限とするかを示す指標で、一般的には年収の5〜7倍程度が目安とされています。たとえば、年収600万円の方であれば、借入金額の上限の目安は3,000万円〜4,200万円となります。


頭金を用意できず、融資額も希望額に届かない場合は「ペアローン」を検討するのも一つの方法です。ペアローンとは、夫婦やパートナーなど2人で連帯保証人になり、融資を受ける仕組みです。2人の年収を合算することで、借入額を増やすことができます。

40代からの住宅ローンシミュレーション

42歳で住宅を購入し、65歳で住宅ローンを完済するという23年間の返済プランを考えてみましょう。マイホーム購入に4,000万円が必要だと仮定し、頭金の金額別にシミュレーションを行います。


シミュレーションの条件

  • マイホーム購入価格:4,000万円
  • 借入期間:23年
  • 金利:1.8%(固定金利)
  • ボーナス支払い分や融資手数料などは考慮しない


頭金なし(購入価格の0%)

借入額:4,000万円

毎月返済額:177,098円

年間返済額:2,125,176円

総返済額:48,879,048円


頭金400万円(購入価格の10%)

借入額:3,600万円

毎月返済額:159,388円

年間返済額:1,912,656円

総返済額:43,991,088円


頭金800万円(購入価格の20%)

借入額:3,200万円

毎月返済額:141,679円

年間返済額:1,700,148円

総返済額:39,103,404円


参考サイト:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」


頭金なしの場合と比べると、頭金を400万円用意することで毎月返済額が17,710円、総返済額は4,887,960円減ります。また、頭金を800万円用意できれば毎月返済額が35,419円、総返済額は9,775,644円減ることがわかります。


ただし、これらの数字はあくまでも一例です。金利や返済期間、ボーナス支払い額、繰り上げ返済の有無などによって毎月返済額や総返済額は変動します。実際の住宅ローンを組む際は、各金融機関のシミュレーションツールを使って、自分の状況に合わせた返済プランを検討することが重要です。また、頭金の準備や返済額の設定は、将来の収入見通しやライフプランを踏まえ、無理のない範囲で行うことが賢明でしょう。ライフプランニングに関してはファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのもおすすめです。


なお、住宅ローンを利用する際には、住宅ローン控除を活用することで、実質的な負担を軽減できます。

住宅ローン控除とは、一定の条件を満たす場合に一定期間、所得税と住民税から税金が控除される制度です。ただし、2024年以降、住宅ローン控除制度が大きく変更されることに注意が必要です。とくに、省エネ基準に適合していない住宅については、住宅ローン控除のメリットを十分に享受できないケースがあります。


次の記事では、住宅ローン控除制度の変更点や省エネ基準への適合について、より詳しく解説しています。マイホーム購入を検討する際は、ぜひご一読ください。


関連記事:住宅ローン控除を2024年以降に利用する際の注意点 | 省エネ性能必須化


まとめ

本記事では、40代でマイホームを購入する際の住宅ローンや頭金の目安について、借入額別のシミュレーションも交えながら解説しました。日本における住宅取得者の平均年齢は約40歳であり、40代で注文住宅を建てたり分譲マンションを購入したりすることは、決して遅いわけではありません。


ただし、40代でマイホームを購入する場合、定年退職までの期間が比較的短いことが予想されます。そのため、住宅ローンの返済期間を設定する際には、とくに注意を払う必要があります。

返済期間が長すぎると定年退職後の収入減少により返済が困難になるリスクがあることを忘れてはいけません。


住宅ローンを組む際は、返済期間だけでなく、金利の種類や返済方法なども慎重に検討しましょう。また、頭金を多く準備することで、借入額を抑え、返済期間を短縮できます。


マイホーム購入は人生の大きな決断です。将来の収入見通しやライフプランを考慮し、無理のない資金計画を立てることが重要です。

必要に応じて、金融機関の担当者や住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャル・プランナー(FP)など専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。



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筆者プロフィール
【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。




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