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新築住宅にかかる6つの税金一覧 | 軽減措置や納税時期も深掘り

住宅や土地を取得したことで課される税金といえば、毎年支払い義務のある固定資産税などがよく知られていますが、実は不動産を取得(購入)するタイミングでもいくつかの税金が課されます。不動産取引は取引金額自体が大きいため、そこにかかる税金も高額になる傾向があります。軽減措置や特例も用意されていますが、その中には期限付きのものや床面積などの条件などが定められているものもあるため注意が必要です。


本記事では、新築住宅の購入時や購入後にかかる6つの税金について、税額から軽減措置、納付時期、納付方法まで詳しく解説します。さらに記事後半では、住宅を購入することで受けられる優遇制度についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。



新築住宅にかかる税金の一覧表

上表は新築住宅の購入など不動産取得にかかる税金の一覧表です。

消費税はなじみがありますが、そのほかの税金に関してはあまり知識がないという人もいるかもしれません。このほかにも住宅購入の際に資金援助を受けた場合は贈与税がかかる場合もあります。

なお、父母や祖父母など直系尊属からの贈与であった場合は、1,000 万円(省エネ基準適合住宅)または500万円(そのほかの一般住宅)までの贈与が非課税になる特例がありますが、この特例制度は2023年12月31日で終了するため注意が必要です。

住宅の税金には「建てたときにだけ納める税金」と「毎年納め続ける税金」の2種類がある

上表では、不動産(住宅+土地)にかかる6つの税金をまとめましたが、これらの税金は2種類に大別されます。

一方は「不動産取得時にのみかかる税金」、もう一方は「不動産を保有している限り毎年納め続ける必要がある税金」です。


住宅取得時にはさまざまな請求があるため、一体何にどのくらいの金額を払っているのかわからなくなるかもしれませんが、固定資産税と都市計画税に関しては住宅取得時ではなく、原則として取得翌年から毎年払っていく税金だと承知しておくと今後のライフプランの作成にも役立ちます。

不動産取得税

不動産(土地や建物)を取得した際に都道府県が課税する税金です。なお、相続や離婚に伴う財産分与による取得など、非課税となるケースも存在します。

税額と軽減措置

不動産取得税の税額は次の計算式で算定されます。


不動産取得税額=固定資産税評価額(課税標準)× 4%


なお、2024年3月31日までは税率を4%から3%に軽減する措置が取られています。

参考:住宅:不動産取得税に係る特例措置 - 国土交通省

納税時期と納税方法

不動産取得税の納税は不動産取得後です。

原則として不動産取得後にまず不動産取得税の申告を行わなければなりませんが、新築住宅の場合は登記を行うことで不動産取得税の申告は不要となります。

一般的に不動産を取得してから数か月後に自治体から納税通知書が届きます。通知書に記載の納税期日までに金融機関やコンビニ、スマートフォンの決済アプリなどから納税するようにしましょう。

不動産取得税がかからないケースがあるってホント?

不動産を取得したからといって全てのケースで不動産取得税がかかるわけではありません。

相続や離婚による財産分与、法人の合併や分割による不動産取得など、非課税となるケースはいくつか存在します。また、新築住宅を購入する場合、一定の条件を満たしていれば、不動産取得税額算出のために使用する課税標準に関する軽減措置を受けられます。

住宅取得における課税標準の特例

※長期優良住宅の場合は1,300万円の控除が可能です(2024年3月31日まで)。


つまり、上記条件を満たした新築住宅であれば、課税標準は固定資産税評価額から1,200万円を控除したものになるため、建物の不動産取得税額は次のように算定されます。


建物の不動産取得税額=(固定資産税評価額−1,200万円)× 4%(※2024年3月31日までは3%)


また、宅地の取得に関しても課税標準の特例があり、2024年3月31日までは宅地の課税標準を固定資産税評価額の1/2とする特例が適用されます。

さらに取得した宅地に一定の住宅を建てた場合は不動産取得税額から一定額控除しても良いという特例も存在します。

控除額は次の①と②のうち、金額の大きい方です。


① 45,000円

② 土地1㎡あたりの評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×3%


つまり、新築住宅を建てた土地の不動産取得税額は最終的に次のように算定されます。


土地の不動産取得税額=固定資産税評価額×1/2×4%(※1)− 控除額(※2)

※1 2024年3月31日までは3%
※2 上記①と②のうち、金額が大きい方

登録免許税

登録免許税とは、法務局に登記や登録などする際に課される税金(国税)です。

不動産、船舶、航空機、会社などの登記や登録・免許・認可に対して課税されます。

新築住宅購入時に必要となる登記の種類は主に次の3つです。

  • 土地における「所有権移転登記」
  • 新築住宅における「所有権保存登記」
  • 住宅ローン借り入れにおける「抵当権設定登記」

なお、新築の場合は「表題登記」という登記を行う必要がありますが、新築住宅の表題登記に登録免許税は課税されません。

税額と軽減措置

登録免許税の税額は以下の通りに定められています。なお、一定の条件を満たす場合は軽減措置を受けられます。

※1 軽減措置の適用期限は2024年3月31日までですが、令和5年度の税制改正により土地の所有権移転登記の軽減措置のみ2026年3月31日まで延長されることが決定しました。

※2 長期優良住宅または低炭素住宅の場合の税率は0.15%ではなく0.1%が適用されます。


軽減措置を受けるための条件ですが、土地の所有権移転登記に関しては条件は適用期限のみで面積などの細かな条件は定められていません。

一方、建物の住宅用家屋所有権保存登記と住宅ローンの抵当権設定登記の場合は、建物の床面積が50㎡以上であることなどの一定の要件を満たす旨の証明をつけて新築後1年以内に登記を受けなければないという条件が定められているため注意が必要です。

参考:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

納税時期と納税方法

登録免許税は原則として現金で納付します。

納税方法は、金融機関や税務署などで納税し受け取った領収証書を登記申請書と合わせて提出する、もしくは登録免許税の額が3万円以下などの場合は相当額の収入印紙を購入し登記申請書に貼付し提出することも可能です。

なお、実際の登記手続きは司法書士や土地家屋調査士に依頼するケースが多く、必要書類や正確な登録免許税の額は前もって教えてもらえます。

印紙税

印紙税とは、売買契約書や住宅ローンの契約書など課税対象となる文書に課される税金(国税)です。

印紙税額は、課税対象となる文書に記載された取引金額などによって異なり、取引金額が大きいほど印紙税額も高くなります。新築住宅を購入する際に必要かつ印紙税の課税対象となる契約書は次のとおりです。

  • 不動産(土地や建物)の売買契約書
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書
  • 注文住宅の工事請負契約書

税額と軽減措置

印紙税額は契約書などに記載された取引金額によって決まります。

売買契約書や金銭消費貸借契約書の場合の印紙税額(一部抜粋)

工事請負契約書の場合の印紙税額(一部抜粋)

なお、不動産の売買契約書および工事請負契約書については、2024年3月31日までは軽減措置が適用されます。

「5千万円を超え1億円以下」までは軽減率50%のため、実際の印紙税額は上表における表記金額の半額となります(※)。

※1億円を超える場合は軽減率50%ではありません。

納税時期と納税方法

住宅に関する契約の場合、土地の売買や建物の請負、住宅ローンなど各契約を交わすタイミングが納税時期となります。

収入印紙は、役所や郵便局、少額なものであればコンビニでも購入可能です。購入した収入印紙は契約書に貼り、さらに消印を押します。

消印は再利用を防ぐための処置であり、消印がないと未納扱いとされてしまうため注意しましょう。

電子契約が可能であれば印紙税の負担はゼロ

電子契約のイメージ

2022年5月、不動産取引における契約書などの電子化が全面的に解禁されたため、電子契約が結べる状況であれば印紙税の負担がゼロとなるケースもあります。なぜ電子契約であれば印紙税の負担がないのかというと、印紙税法では課税文書の作成は用紙への記載によるものと定義されており、電子契約は文書を作成したものとはみなされないからです。なお、住宅ローンの契約に関しても電子契約を行うことで印紙税の負担はなくなります。電子契約に対応できるかどうかは、住宅メーカーや金融機関次第ですが、これからは電子契約がスタンダードとなると予想されます。ほかの税金と比べると印紙税の金額は元々それほど大きくありませんが、近い将来、印紙税の負担が完全になくなる日も訪れるかもしれません。

参考:電子契約で収入印紙が不要になる理由を政府見解に基づき解説 | GMOサインブログ

消費税

消費税とは、商品やサービスの提供または取引に対して課される税金です。

新築住宅購入の際は、主に仲介手数料や建物本体代金、工事請負代金に対してかかります。なお、土地の購入代金には消費税はかかりません

土地は、そこに家を建てて暮らしたとしても、商品やサービスのように消費されるものではないと考えられているためです。

税額と軽減措置

仲介手数料や建物本体代金、工事請負代金などに対して10%が課税されます。

一般に消費税には軽減税率という仕組みがありますが、不動産取引において軽減税率は適用されません

納税時期と納税方法

建物・工事代金支払い時または住宅ローンの借り入れ時が実質的な納税時期と言えます。

消費税は間接税のため、住宅メーカーや不動産会社などの事業者を通して納める形を取ります。

固定資産税

固定資産税は、不動産(住宅や土地)を保有している期間に市町村(※)によって課される税金(地方税)です。

毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人(土地や住宅を所有している人)が課税対象者となります。

※東京23区の場合は各区ではなく東京都が課税します。

税額と軽減措置

固定資産税の税額は次の計算式で算定されます。


固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準)× 1.4%(※)

※1.4%は標準税率であり、各自治体の条例により変更できます


固定資産税には「住宅用地の課税標準の特例」「新築住宅の減税措置」という2種類の軽減措置が用意されています。

住宅用地の課税標準の特例は、200㎡以下の小規模住宅用地であれば課税標準が固定資産税評価額の1/6に、200㎡以上の一般住宅用地に関しては課税標準が固定資産税評価額の1/3に減額されます(※)。

※200㎡以上の住宅用地であっても200㎡までの部分に関しては課税標準は評価額の1/6に減額されます。

また新築住宅の減税措置については、新築住宅を取得した場合に床面積など一定の条件を満たせば、一定期間、固定資産税額が1/2に減額されます(ただし床面積120㎡までの部分が対象)。減額適用期間は原則として3年間です。

しかし、長期優良住宅の場合は5年間適用されます。なお、2024年3月31日までに建築された新築住宅が対象となるため、期限には注意しましょう。

納税時期と納税方法

固定資産税は土地や建物を所有している限り、原則として毎年納めなければならない税金です。

毎年1月1日時点の固定資産課税台帳の登録情報をもとに4月〜6月頃に自治体から納税通知書が届きます。

一括納付または年4回の分割納付ができ、納付方法は口座振替をはじめ銀行やコンビニ、決済アプリなどから選択できます。

都市計画税

都市計画税は、公園や道路などの都市計画事業や土地区画整理事業に必要な費用に充てるため、市町村(※)によって課される税金(地方税)です。

市街化区域内の土地や家屋の所有者に毎年1月1日時点において課せられます。

※東京23区の場合は各区ではなく東京都が課税します。


市街化区域とは?
市街化区域とは、都市計画によって定められたすでに市街地を形成している区域と約10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図ることになっている区域のことです。お住まいの場所が市街化区域に該当するかどうかは、ウェブ検索で「〇〇市 都市計画」や「◯◯市 市街化区域」と調べることで確認できます。

税額と軽減措置

都市計画税の税額は次の計算式で算定されます。


都市計画税額=固定資産税評価額(課税標準)× 0.3%(※)

※0.3%は制限税率(最高税率)と呼ばれ、各自治体の条例により0.3%以下への変更が可能です。


都市計画税には住宅用地の課税標準の特例が用意されており、200㎡以下の小規模住宅用地であれば課税標準が固定資産税評価額の1/3に、200㎡以上の一般住宅用地に関しては課税標準が固定資産税評価額の2/3に減額されます(※)。

固定資産税にも同様の住宅用地の特例がありますが、課税標準の減額の割合が異なります。

※200㎡以上の住宅用地であっても200㎡までの部分に関しては課税標準は評価額の1/3に減額されます。

納税時期と納税方法

都市計画税は固定資産税と合わせて納付します。

固定資産税同様、毎年1月1日時点の固定資産課税台帳の登録情報をもとに4月〜6月頃に自治体から納税通知書が届きます。一括納付または年4回の分割納付が可能です。

納付方法は口座振替をはじめ銀行やコンビニ、決済アプリなどから選択できます。

住宅購入によって税金が還付される仕組みもある

パソコンの前で喜ぶ女性

ここまで新築住宅を取得した際に課税されるさまざまな税金について紹介してきましたが、実は住宅を取得すると税金(所得税や住民税)の還付が受けられる仕組みも存在します。

住宅ローン控除

住宅を購入した際に適用が受けられ、なおかつ減税効果が非常に大きい仕組みが住宅ローン控除です。

住宅の省エネ性能によって控除対象となる借入額に差はありますが、原則として年末ローン残高の0.7%を13年にわたって所得税(所得税から控除し切れない場合は住民税)から控除できます。なお、住宅ローン控除に関しては2024年1月から新たにルール変更があります。詳しくは次の記事を参考にしてみてください。

関連記事: 住宅ローン控除2024

認定住宅等新築等特別税額控除

住宅ローン控除は住宅ローンを利用していなければ利用できない優遇制度です。

住宅を取得する際に多くの人は住宅ローンを利用しますが、中には現金一括で支払うという人もいます。このような住宅ローンを利用しない人でも利用できる可能性があるのが「認定住宅等新築等特別税額控除」です。

長期優良住宅や低炭素住宅といった国が定める認定住宅などを個人が新築・購入した場合に、原則として最大65万円の控除が受けられます。

1年で控除し切れない場合は翌年に繰り越すことも可能です。なお、住宅ローン控除との併用はできない点に注意しましょう。

さらに、認定住宅等新築等特別税額控除の適用期限は2023年12月31日までとされており、現時点で延長などは決まっていません。

参考:No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)|国税庁

まとめ

本記事では、新築住宅の購入時にかかる税金について、税額から軽減措置、納付時期、納付方法まで詳しく解説しました。

また、住宅や土地を購入してから毎年納め続ける必要がある税金についても紹介しました。

さらに記事後半では、住宅ローン控除や認定住宅等新築等特別税額控除といった住宅を購入することで受けられる優遇制度についても触れました。

住宅購入は高額の取引のため、課される税金も高額になる傾向があります。そのため軽減措置なども用意されていますが、適用条件や適用期限がある点には注意しましょう。


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筆者プロフィール
【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。


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