家づくりアカデミア

理想の家づくりを応援するメディア

新築住宅に太陽光パネルを設置すべきか迷う!メリットとデメリットを解説

2022年12月、東京都が新築住宅への太陽光パネル設置を義務化することを決定しましたが、果たして太陽光発電は本当に必要なのでしょうか?


本記事では、太陽光パネル設置のメリットとデメリットを徹底解説し、あなたの住まいに適した選択ができるようになる情報を提供します。

環境にやさしく、経済的なメリットもある太陽光発電ですが、初期費用の負担やメンテナンスの必要性など事前に検討しておかなければいけないこともあります。

新築住宅を建てる際に太陽光パネルを設置すべきかどうか迷っている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。





東京都で太陽光パネルの設置が義務化される背景


東京都で太陽光パネルの設置が義務化される背景


東京都では、2025年4月より新築住宅に太陽光パネルの設置が義務化されることが決定しました。背景には、都内の温室効果ガス削減目標の達成や、環境負荷の軽減、持続可能なエネルギー供給の確保といった環境政策が大きく関与しています。


東京都は「2030年カーボンハーフ」という2030年までに温室効果ガスの排出量を半減させる(2000年比)目標を掲げています。その達成に向けて太陽光パネルのさらなる普及が重要な役割を担っているのです。また、新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復やウクライナ戦争を原因とする「エネルギーの需要と供給のバランスの崩れ」に対しても、再生可能エネルギーの導入は有効と考えられています。



「東京都の義務化」具体的な中身

まず重要な点は、太陽光パネルの設置義務は、消費者(施主)にあるのではなく事業者つまり住宅メーカーにあるということです。さらに、対象となる住宅メーカーは、東京都内で住宅供給を行う延床面積の合計が年間2万㎡以上の大手住宅メーカーに限られます。また、すべての新築住宅が義務化対象というわけではなく、立地や屋根の形状などによって対象外となる場合もあります。既存物件についても設置の義務はありません。


なお、今回の決定では太陽光パネル設置義務だけではなく、駐車場付きの住宅には電気自動車充電設備の設置も義務化されました。


参考記事:NHK「東京都 全国初の太陽光パネル設置義務化条例 住宅価格や対象は?」



東京都以外に設置義務化の動きはあるのか

ほかの自治体でも太陽光パネルの設置義務化の動きはあります。ただし、主に事業用として利用される一定規模以上の建物が対象となるケースが一般的です。

たとえば、京都府京都市では、東京都の決定よりも前に、太陽光パネルの設置を義務化していました。また、群馬県神奈川県川崎市でも太陽光パネル設置義務化の動きが本格化しています。



住宅向け太陽光発電の概要


住宅向け太陽光発電の概要


太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する再生可能エネルギーのひとつです。エネルギー変換のためには、太陽電池パネル(太陽光パネル)と呼ばれる装置を利用します。


太陽光パネルには、シリコン系、化合物系、有機物系と大きく3つの種類があり、現在最も主流とされているのがシリコン系の太陽光パネルです。パネルの種類によって、エネルギーの変換効率や耐久性、価格などに違いがあります。


住宅向け太陽光発電では、発電した電力を自宅で消費することができます。また、余剰分は電力会社に売却することも可能です。さらに蓄電池を導入することで、昼間蓄えた電気を夜間に使用することができ、また災害など非常時の備えとしても有用です。

自宅の電気を再生可能エネルギーでまかなうことで、電気代節約はもちろん、CO2排出量の削減にも大きく貢献できます。



太陽光パネルの設置率は?

マイボイスコム株式会社の「太陽光(ソーラー)発電」に関するインターネット調査によると、2021年時点での太陽光パネルの設置率は9.2%です。


太陽光パネルの設置率

出典:PR TIMES「マイボイスコム株式会社【太陽光発電に関する調査】


太陽光パネルの設置は、東日本大震災後に急激に増加したと言われています。震災後、日本ではエネルギー供給の安定性や地域の自律性、環境問題への対策が大きく注目されるようになりました。このため、再生可能エネルギーの普及が求められ、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー設備の設置が加速しました。


また、2012年に導入された再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)も、太陽光発電の普及に大きく寄与しました。この制度により、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して発電した電力を、電力会社が一定期間・一定価格で買い取ることが義務付けられました。太陽光パネル設置のリスクが軽減され、さらなる普及が促されたのです。


しかし現在では、設置費用の高さや売電価格の下落、廃棄処理の問題などが要因となり、太陽光発電の普及自体が伸び悩んでいるとされています。今回、東京都は設置義務化を決定しましたが、パブリックコメントでは反対の声が4割を超えるなど賛否が分かれているのも事実のようです。


参考:<「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について」(中間のまとめ)意見公募結果



太陽光パネル設置のメリット


太陽光パネルの設置には多くのメリットがあります。ここでは、電力自給や電気代の節約、環境への貢献など、主なメリットを詳しく解説します。


電力自給・電気代の節約


太陽光パネルを設置することで、自家発電が可能となります。発電した電気は、家庭内での消費(自家消費)や、蓄電池に蓄えておくことができます。自家発電をすることで、電気代の節約が見込まれ、さらに蓄電池によって停電時や災害時など非常事態の際にも電源が確保できるため、安心感も得られるのです。ただし、家庭用蓄電池の導入には多額の費用がかかる点には注意しましょう。


環境への貢献


太陽光発電は、再生可能エネルギーのひとつであり、化石燃料を使用せず電力を生成することが可能です。化石燃料を使用しないことで、地球温暖化や空気汚染などの環境問題に対する負荷を軽減できます。環境にやさしいエネルギーを利用することは、持続可能な社会の実現への貢献につながります。



太陽光パネル設置のデメリット


太陽光発電は、決して良いことばかりではありません。設置を検討するにあたり、設置費用やメンテナンスなど、デメリットに関する情報についても把握しておくことが重要です。


設置費用


太陽光発電システムの設置には、パネルやパワーコンディショナーなどの購入のほかに、工事費用もかかるため、初期費用が高額になることは覚悟しなければいけません。一般的な住宅用のソーラーパネルの容量である3〜5kWの設置費用の相場は、80万円〜140万円となります。さらに、蓄電池の設置にも100万円〜200万円ほど費用がかかります。

補助金制度などを活用することで、初期費用を下げることは可能ですが、それでも決して安くはない負担が発生することは間違いないでしょう。


メンテナンスの必要性


太陽光パネルは設置して終わりではありません。長く利用するためには、定期的なメンテナンスが必要となります。また、パネルの汚れを放置すると発電効率が低下するため、こまめなクリーニングも必要です。さらに自然現象による破損やシステムなどのトラブルが発生した場合には、修理しなければならないこともあります。太陽光発電システムには長期の保証が付くことが一般的ですが、メンテナンスやクリーニングなどには費用が発生する可能性も考慮しておかなければいけません。


発電効率のばらつき


太陽光発電の発電効率は、日照条件や気象条件に左右されます。また、建物の立地や周囲の遮蔽物の影響も受けるため、発電量にばらつきが生じることがデメリットです。ばらつきを抑えるためには、最適なパネルの配置や角度調整が必要となります。

なお、蓄電池を併用することにより、発電量の変動を補完することができます。


廃棄処理のあり方


近年問題に上がるのが、太陽光パネルの廃棄処理のあり方です。太陽光パネルの耐用年数は一般的に20〜30年とされています。寿命を迎えた太陽光パネルは、処分する必要がありますが、まず処分するにもコストがかかります。さらに、太陽光パネル自体に有害物質が含まれているため、産業廃棄物扱いで処理しなければなりません。適切な処分がされないと、環境への悪影響となります。



環境や経済的メリットを考えるなら気密性や断熱性をより重視すべき!


ここまで太陽光パネル設置のメリットやデメリットを見てきましたが、環境に対する負荷軽減や光熱費削減などの経済的メリットを考えるのであれば、ほかにも重視すべきことがあります。


優先すべきは住宅性能

住宅全体の環境への負荷軽減や光熱費削減を追求するためには、住宅性能の向上が重要です。特に、気密性や断熱性を高めることで、夏場の冷房や冬場の暖房に必要なエネルギー消費量が減少し、結果的に環境への負荷も軽減されます。また、エネルギー消費量の減少により、光熱費の削減も期待できるため、家計にも優しい選択です。


太陽光パネル設置はあくまで住宅づくりにおけるオプションですが、気密性や断熱性は住宅の根幹に関わる大切な部分と言えます。


さいが設計工務の強みは高気密・高断熱の住まいづくり

埼玉県に拠点を置く「さいが設計工務」は、高気密・高断熱の快適な住まいづくりを得意としています。特に、気密性に関して、高気密住宅を実現できる工務店はまだまだ少ないのが現状です。その中で、さいが設計工務は隙間を作らないために高い技術と丁寧な施工で高気密を実現し、さらに厳しい気密性能基準を設けた上で、気密測定を中間検査時と完成時の2回実施しています。もちろん、断熱性能にも優れ、こちらも高い断熱性能基準を設けており、その性能はZEH水準を超えるレベルです。そして、気密性と断熱性による相乗効果で、家全体がエアコン1台で快適に暮らせる状態を実現しています。


さいが設計工務の住宅性能に関しては、別記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

参考:高気密・高断熱の快適な注文住宅を提供する埼玉の工務店|さいが設計工務


まとめ:太陽光パネル設置の是非を総合的に判断しましょう


太陽光パネル設置にはメリットとデメリットが存在します。これらを総合的に判断して、自分たちのライフスタイルや家の状況に合った選択をすることが大切です。また、太陽光パネルだけなく、住宅全体の環境負荷軽減や光熱費削減を考慮することも重要です。気密性や断熱性の向上など、ほかの対策もぜひ検討してみてください。


筆者プロフィール

【フリーランスライター:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期より建築業界に親しみがあるが、自身は大学で数学を学ぶ(専門は位相幾何学)。現在はWEB業界で仕事をする一方、ライターとして金融分野や教育分野など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味のDIYや電気工事士の免許を活かし、一般の家庭が抱える住宅の悩みや要望にお答えするコンテンツを提供します!

この記事をシェア

その他の記事

© 2023 さいが設計工務 高気密高断熱の家づくり