
住宅購入を検討する際、ほとんどの人がモデルハウスの見学を経験します。
ただし、一般的に行われる短時間の見学では、場合によっては細部に目を通す時間が足りないことも。
そこで注目したいのが、モデルハウスでの宿泊体験です。
実際のモデルハウスで一晩過ごすことにより、日常生活の具体的なイメージをつかみ、またお風呂やキッチンなどの設備の使い勝手をじっくりと確認もできます。
本記事では、モデルハウスの宿泊体験の際に忘れずに見ておきたいポイントや申し込み手順、宿泊当日の流れ、食事、料金など住宅購入を検討中の方に向けて役立つ情報を詳しく解説します。
一歩進んだ住宅選びの参考に、ぜひご一読ください。
目次
・ モデルハウスでの宿泊体験ガイド | 当日の流れから料金、持ち物まで完全解説
・ モデルハウスでの宿泊体験はどの段階(タイミング)ですべきか
・ モデルハウスでの宿泊体験中にチェックすべき5つのポイント
・ 4.防音性
・ 5.外観
・ 申し込み方法
・ 完全予約制が基本
・ 宿泊当日の流れ
・ STEP3:宿泊
・ 宿泊体験に参加すると強引な営業や勧誘があるイメージだけど......?
モデルハウスでの宿泊体験の概要と魅力
モデルハウスとは、ハウスメーカーや工務店が自社の家づくりを宣伝するために作られる見本住宅です。
通常は担当営業者に案内されて1〜2時間の見学をしますが、最近ではこのモデルハウスで実際に泊まることのできる「宿泊体験」というサービスを実施する住宅メーカーが増えてきています。
宿泊体験は一般に大手ハウスメーカーでよく行われているサービスのひとつです。しかし、地域の工務店でも、とくに性能を重視した家づくりを行っている場合には、その性能の良さをより深く知ってもらうためのサービスとして提供されていることがあります。
モデルハウスでの宿泊体験の魅力は、次のような点にあります。
1.自分たちのペースでじっくりと見学
通常のモデルハウス見学では、営業担当者に家のつくりや内装、設備について解説や紹介をしてもらいながら見て回るのが一般的です。
短時間で住まいづくりの全体像を把握できるというメリットは確かにありますが、細かな箇所のチェックや生活動線・住み心地の確認まではなかなかできません。
また、営業担当者の会話に意識が向いてしまい、落ち着いて見学ができなかったというケースもあるでしょう。
一方、宿泊体験では営業担当者が夜間は居なくなるため、家族のみでモデルハウスをじっくりと見て回れます。
実際に、食事をしたりお風呂に入ったりリビングでくつろいだりすることで、日中の見学時には見えてこなかった住まいのポイントを発見できるでしょう。
2.見学では確認できない部分のより深いチェック
短時間のモデルハウス見学だけでは確認しきれない項目が存在します。
断熱性や換気性能、設備の使い勝手などの確認は、実際に過ごしてみないとなかなかわからないため、宿泊体験を通してチェックすべき項目です。
また、夜間や早朝の住環境も参考になります。冷暖房設備をオフにしたときの温度変化や外部からの騒音、朝日の入り方など日中の見学ではチェックできない項目をチェックできるのも宿泊体験の大きな魅力です。
3.家族の反応の確認
たとえば、子どもと一緒に宿泊することで、子どもならではの率直な感想や希望を聞くことができるため、大人の視点では見えてこないような部分に気が付けるかもしれません。
また、家族とともにモデルハウスをゆっくり見学しながら希望や考えを共有することで、住まいづくりに対するより明確な方向性が見えてきます。
4.インテリアや生活動線のイメージ付け
実際の住宅をしっかりとイメージできるよう、宿泊体験が可能なモデルハウスは標準仕様を基本として造られているのが一般的です。そのため、各部屋の広さや収納スペースなど新生活に直接参考になる部分が多数存在します。
なかには成約後であってもインテリアや家具・家電購入のために早めにイメージを持ちたいという目的で宿泊体験を利用できるケースもあります。
このように自分たちのペースで具体性を持ったモデルハウス見学ができる点が、宿泊体験の魅力です。
すべての住宅メーカーが宿泊体験を実施しているわけではありませんが、検討中の住宅メーカーが宿泊体験を行っているのであれば、ぜひ参加してみてください。
モデルハウスでの宿泊体験はどの段階(タイミング)ですべきか
モデルハウスでの宿泊体験に参加してみたいけど、
「検討しはじめたばかりの軽い気持ちで宿泊体験に申し込んでも良いのかな?」
と疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、安心してください。宿泊体験は住宅購入を検討中のあらゆる段階で利用できます。
※ただしレジャー目的の利用は基本的に不可
「検討している中の1社で、まだ決めかねている」という段階でも、宿泊体験はOKです。
住宅メーカー側も短時間の見学だけでは伝えきれない自社の魅力を、宿泊体験を通してアピールしたいという思惑があるため、宿泊体験参加者側が「まだ検討段階のため、今回の宿泊体験では◯◯の部分を判断材料として持ち帰りたいと考えています」などと正直に話すことで、営業担当者からもより深い情報を引き出せるかもしれません。
宿泊体験中にはどのような営業・勧誘がある?
宿泊体験の前後に営業担当者による住まいづくりの解説やアンケート記入など一般的な営業活動はあると考えておくと良いでしょう。
しかし、強引な勧誘や「宿泊体験したから決めてください」といったプレッシャーは原則としてありません。
万が一、宿泊体験中に強引な勧誘があった場合は、その住宅メーカー自体の信頼性に注意が必要でしょう。
なお、住宅メーカーによっては子ども向けに各部屋の紹介を目的とした宝探しや断熱性能をアピールするための温度リサーチなどのお楽しみ企画を用意していることもあります。
モデルハウスでの宿泊体験は、住宅メーカー選びの参考となる絶好の機会です。軽い気持ちで申し込むことも問題ありませんので、気軽に利用してみると、より具体的な住まいづくりのイメージが湧くかもしれません。
モデルハウスでの宿泊体験中にチェックすべき5つのポイント
モデルハウスでの宿泊体験に参加することが決まったら、事前に確認すべきポイントを明確にしておくと良いでしょう。せっかくの貴重な機会ですから、自分だけでなく家族の意見も取り入れるなど、多角的な視点からの判断を心がけることで、後の住宅選びの決定段階に大いに役立つと言えます。
本章では、モデルハウスの宿泊体験において最低限忘れずにチェックしておきたい5つのポイントについて解説します。
1. 断熱性・気密性
宿泊体験では、通常のモデルハウス見学では感じられない家の温度や湿度の変化を確認できます。
そこでおすすめなのが、「温湿度計」を持参すること。住宅メーカー側が貸し出しを行うケースもありますが、普段使っているものを持参することで、現在の住まいとの違いがよりわかりやすくなるかもしれません。
また、リビングや寝室などメインで過ごす部屋だけでなく、トイレや玄関など外気の影響を受けやすい場所の温度を計測することで、建物本来の断熱性能・気密性能が見えてくることもあります。
2.各設備の使い勝手
宿泊体験中には基本的にキッチンやトイレ、浴室などの住宅設備を実際に使用できます。日常生活の流れを具体的にイメージしながら、操作感や配置に違和感などがないかもチェックしましょう。
3.生活動線・家事動線
家族それぞれの動きや家事の流れをスムーズに行える動線がどれだけ考慮されているかを確認することも重要です。
生活動線の確認は、実際の住み心地と密接に関わる大切な部分です。
4.防音性
小さな子どもがいるご家庭においてとくに気になる点のひとつが防音性です。
外部からの騒音がどれだけ気にならないか、宿泊体験を通して確認してみましょう。
とくに夜間や早朝に外の自動車の音などがどの程度聞こえるか、逆に家の中で出す音(テレビの音声や子どもの遊び声など)がどれだけ外に漏れ出すかをチェックするのがおすすめです。
5.外観
建物の外観は、自分の家のイメージを形作る大事な要素です。
屋根の形状や外壁の素材・色合いなど、通常のモデルハウス見学では後回しになってしまう外観部分を宿泊体験を通してじっくりとチェックしてみましょう。
申し込み方法
モデルハウスの宿泊体験を実施しているかどうかは、通常、各会社のホームページなどに明記されています。
しかし、一部では個別対応のみを行っていたり、情報公開を限定的にしたりとクローズドなケースも存在します。
このため、希望する住宅メーカーが宿泊体験を提供しているのか不明な場合、直接電話で問い合わせてみることが確実な方法です。
宿泊体験の申し込みは、通常、電話やインターネットから可能です。
最近はホームページ上で専用の予約フォームが提供されている場合も多く、手軽に申し込めます。
完全予約制が基本
モデルハウスの宿泊体験は原則として完全予約制です。
多くの場合、1モデルハウスにつき1日1組限定となるため、週末などの人気の日程は早めに予約が埋まることがよくあります。
宿泊当日の流れ
モデルハウスの宿泊体験は1泊で行うのが基本です。
当日の流れは住宅メーカーによって異なる部分もありますが、以下のような大きなステップで進行することが一般的です。
STEP1:モデルハウス到着・チェックイン
多くの場合、自動車などで直接モデルハウスまで向かい、住宅メーカーの営業担当者と合流します。
公共交通機関やタクシーなども利用できますが、その場合交通費は自己負担となるのが通常です。
場合によっては、最寄り駅などで待ち合わせをし、住宅メーカー所有の車で現地まで送迎してもらえるケースもあります。
STEP2:注意事項の説明と家の案内
モデルハウスに到着すると、まずは営業担当者から宿泊体験をするにあたっての注意事項や家の設備の使い方などの説明があります。
この時に住宅メーカー側から宿泊体験中に体感してほしいポイントの紹介・解説などもあるでしょう。
STEP3:宿泊
営業担当者からの説明が一通り済むと、実際の宿泊が始まります。
通常は営業担当者がこのタイミングでモデルハウスから帰るため、家族のみで過ごせます。
この時間はプレッシャーを感じず、ゆっくりと家全体を見学できる絶好の機会です。間取りや内装、温湿度の変化などをチェックしていきましょう。
STEP4:チェックアウト
一晩過ごした翌朝に宿泊体験は終了します。営業担当者が再びモデルハウスを訪れるので、感想の共有やアンケートの記入などを行います。この際に、宿泊体験を通して生じた疑問点や希望を営業担当者に伝えておくと良いでしょう。
以上の流れを踏まえ、事前準備や宿泊中の確認事項を整理しておくと、より宿泊体験が充実したものになります。
宿泊体験における注意点とよくある疑問
持ち物として必要なものは?
ホテルや旅館に宿泊する時と同様の準備をしていけば問題ありません。
ただし、タオルや歯ブラシなどアメニティグッズの用意に関しては住宅メーカーごとに対応が異なるため、事前に確認しておきましょう。
なお、持っていくと便利なものとして、メジャーや温湿度計が挙げられます。宿泊体験を実施するモデルハウスは、実際の施工住宅と仕様などを同条件にしていることが多く、入居後の生活イメージをしながら、メジャーを使って家具や家電の配置を検討するのに役立ちます。
また、断熱性能を確かめたい場合には、玄関やトイレなど外気の影響を受けやすい場所の温度や湿度を測ってみると良いでしょう。
宿泊体験に料金(体験費用)はかかる?
一般的に、宿泊体験の料金は無料です(施設利用料として1,000円程度の料金を設定しているケースもあります)。
ただし、モデルハウスまでの交通費や食事代などは自己負担となります。
なお、住宅内を傷つけてしまったり設備を壊してしまったりすると弁償費用が発生する場合がありますので、とくに小さな子どもを連れて宿泊体験を行う場合はご注意ください。
宿泊体験中の食事について
モデルハウスでの宿泊体験は、原則1泊で行うため、宿泊当日の夕食と翌日の朝食は準備が必要です。
キッチンが使用できる場合は、食材を持ち込んで自分たちで調理できます。料理器具や食器類は、備え付けのものを使用できます。
この際に、キッチンの使い勝手や換気性能などをあわせて確認しておくと良いでしょう。なお、住宅メーカーによっては、お菓子や軽食、ジュース、アルコール類などを事前に用意してくれることもあります。
一方、火災などのリスクを考慮し、キッチンの使用を不可としているケースもあります。
その場合、食事は外で済ませるかテイクアウト商品などを準備する必要がありますが、水道や冷蔵庫などは使用できるのが一般的です。
お風呂には入れる?
宿泊体験ではモデルハウスのお風呂を実際に利用できます。
お風呂の広さや断熱性能、使い勝手などをチェックするのに、この機会を活用しましょう。
子どもは参加しても良い?
住宅購入検討者の多くは子育て世帯であることから、子どもの参加を歓迎している住宅メーカーがほとんどです。
子ども向けにイベントを企画していたり、おもちゃやDVDなどを用意してくれたりするケースもあります。
なお、子ども用のアメニティグッズや食器などの用意があるかどうかは住宅メーカーによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
夜間は家族だけで過ごせる?担当営業者も宿泊するの?
担当営業者は、宿泊体験に関する注意事項の説明や家づくりに関する案内が終わった段階で、帰るのが一般的です。
その後は家族だけで翌朝まで過ごします。途中、困ったことなどがないか確認のため住宅メーカーのスタッフから連絡が入る場合もあります。
宿泊体験におすすめの時期・季節は?
家の断熱性能を確かめたい場合は、夏の暑い時期または冬の寒い時期に宿泊体験をするのがおすすめです。
エアコンなど冷暖房システムの効き目はどうなのか、それから結露の発生の有無などもチェックできます。
住宅メーカーによっては、夏と冬で季節を変えての利用を推奨している場合もあります。
宿泊体験に参加すると強引な営業や勧誘があるイメージだけど......?
住宅メーカー側からすると、宿泊体験に参加した顧客は通常のモデルハウス見学だけの場合と比べ、より自社に興味を持ってくれていると判断する傾向があります。
そのため、熱意のこもった営業を行うケースはありますが、常識的なメーカーであれば、あくまで検討段階であると認識し、勝手に話を進めるようなことはしません。
むしろ、宿泊体験参加者が実際に内装などにもこだわったモデルハウスで長時間過ごすことで、そのモデルハウスがとても魅力的に見え、視野が狭くなってしまうことも考えられます。多くの方は、ある程度住宅メーカーを絞り込んだ上で、決定打を求めて宿泊体験に参加しています。
住宅メーカー選びの最終段階だからこそ、冷静な判断を下し、自分たちの希望ができる限り叶えられる家づくりを行ってくれる住宅メーカーを選ぶようにしましょう。
宿泊体験はハードルが高いという方は、バーチャルモデルハウスの利用がおすすめ
モデルハウスの宿泊体験は、家づくりの具体的なイメージを膨らませる上で非常に有効な手段です。
しかし、いきなりモデルハウスに泊まってみるというのは、ハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな方には、バーチャルモデルハウスの利用がおすすめです。
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まとめ:宿泊体験に参加することで、具体性を持った住まいづくり計画を立てられます。
本記事では、宿泊体験の見どころや申し込み方法、当日の流れ、注意事項や疑問点などについて解説しました。
宿泊体験では、実際に家で生活する中で気づくことや、モデルハウス見学では知ることのできない情報を得られます。
現在検討中の住宅メーカーが宿泊体験を実施しているのであれば、ぜひ参加してみてください。
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筆者プロフィール 【ライター&ファイナンシャルプランナー:武田有】父が一級建築士であることから、幼少期から建築業界に親しみを持つ一方で、大学では数学(専門は位相幾何学)を学んだ多彩なバックグラウンドを持つ。現在はWEB業界での活動と並行して、金融から教育まで幅広いジャンルで執筆活動を展開。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格も活かし、金融分野での深い洞察も提供。一般家庭が直面する住宅関連の課題やニーズに対応する実用的なコンテンツをお届けしています。 |